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 平成 7年版 犯罪白書 第3編/第1章/第2節/2 

2 再非行防止

 III-10図は,保護観察の開始時期のいかんを問わず,平成6年中に保護観察が終了した者のうち,保護観察期間中に,再度の犯罪・非行により刑事処分(起訴猶予を含む。)又は保護処分(戻し収容を除く。)を受けた者の,保護観察に付された日から処分を受けた日までの期間別の構成比を見たものである。

III-10図 保護観察中の再犯の再犯期間別構成比(平成6年)

 III-10表は,昭和58年から平成元年までの各年において保護観察に付された少年のうち,各人それぞれの保護観察が終了するまでの間に,再度の犯罪・非行を行ったことにより刑事処分又は保護処分(戻し収容を除く。)を受けた者の比率(以下「再犯率」という。)及びその処分内容別内訳を示したものである。再犯率の平均は,保護観察処分少年では19.4%,少年院仮退院者では28.0%である。その処分内容を見ると,新規受理人員の中に占める懲役・禁錮の言渡しを受けた者の比率の平均は,保護観察処分少年では1.2%,少年院仮退院者では1.5%となっている。

III-10表 保護観察期間中における再犯率(昭和58年〜平成元年)

 上記のとおり,保護観察処分少年については約2割,少年院仮退院者については約3割の再犯率にとどまっており,また,再犯者に対する処分内容も,再犯事犯が悪質・重大であったために懲役・禁錮の刑に処された者は,ごく少数である。これによれば,保護観察処遇及び少年院処遇は,それ相応の評価がなされるべきであろうが,再犯率を更に引き下げるために,処遇の充実を期する必要があることは当然であって,保護観察においては,平成2年5月から実施されている類型別処遇,少年院においては,3年9月から実施されている特修短期処遇及び5年9月から実施されている長期処遇の充実等の諸政策の成果が期待される。