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1 保護処分対象少年の特性 (1) 非行の種類
III-6表は,平成6年に新たに保護観察処分を受けた少年(交通短期保護観察少年を除く。以下「保護観察処分少年」という。)及び少年院新収容者について,処分を受ける原因となったそれぞれの非行の種類を見たものである。保護観察処分少年では交通事犯,少年院新収容者では財産犯の比率がそれぞれ高い。 III-6表 非行の種類別構成比 また,男女別に見ると,男子では,交通事犯及び財産犯の占める比率が高く,この二つで,保護観察処分少年の73.7%,少年院新収容者の56.7%を占めている。女子では,保護観察処分少年にあっては交通事犯,少年院新収容者にあっては薬物事犯の比率がそれぞれ高い(巻末資料III-1表参照)。III-7表は,非行の種類の中で比率の高い財産犯,交通事犯及び薬物事犯のそれぞれの比率の推移を見たものである。女子の少年院新収容者では財産犯の比率が低下傾向にあるが,薬物事犯の比率は高くなっている。その他の非行の種類については,年次により若干の変動はあるものの,大きな変化は見られない。 III-7表 非行の種類別比率 (2) 処分歴平成6年では,保護統計年報によれば,保護観察処分少年のうち,保護観察処分歴を有しない者の比率は76.4%で,元年から6年までを見ると,おおむね76%を前後している。 また,同じく,矯正統計年報によれば,少年院新収容者のうち,少年院送致歴を有しない者の比率は83.4%であり,平成元年から6年までを見ると,上昇傾向にある。 (3) 不良集団関係 III-8表は,非行時における不良集団関係の構成比を見たものである。不良集団と交渉を持っていた者の比率は,保護観察処分少年では37.7%であるのに対し,少年院新収容者では59.1%の高さにある。 III-8表 不良集団関係構成比 不良集団のうち,暴走族及び地域不良集団と交渉を持っていた者の比率の推移を見ると,III-6図のとおり,暴走族と交渉を持っていた者の比率は,前年と比べ,保護観察処分少年,少年院仮退院者共に低くなっているが,地域不良集団と交渉を持っていた者の比率は,逆に,共に上昇している。III-6図 不良集団と交渉を持っていた者の比率の推移(平成元年〜6年) (4) 生活程度法務総合研究所の調査によれば,平成6年においては,生活程度不詳の者を除き,保護者の生活程度が貧困とみなされた者の比率は,保護観察処分少年では6.1%(男子5.7%・女子9.4%)であるのに対し,少年院新収容者では21.4%(男子21.2%・女子22.4%)となっている。 (5) 職業生活 III-7図のとおり,保護観察処分少年と少年院新収容者の職業別構成比には,大きな変動はないが,有職者の占める比率は,平成5年以降,共に低下傾向にある。6年においては,無職者の占める比率は,保護観察処分少年では22.6%,少年院新収容者では49.9%となっており,少年院新収容者における無職者の占める比率は高い。 III-7図 職業別構成比の推移 (6) 教育程度III-8図は,教育程度別の構成比を見たものである。 III-8図 教育程度別構成比(平成6年) III-9表は,学歴が中学校在学又は卒業である者及び高等学校中退である者の比率の推移を見たものである。学歴が中学校在学又は卒業である者の占める比率は,保護観察処分少年,少年院新収容者共に低下しており,逆に,高等学校中退者の占める比率は,共に上昇している。III-9表 学歴が中学校在学又は卒業である者及び高等学校中退である者の比率(平成元年〜6年) (7) 居住状況III-9図は,今回の非行時における家族との同居状況別の構成比を見たものである。家族と同居する者の比率は,男女共に,保護観察処分少年が少年院新収容者よりも高い。 III-9図 家族との同居状況別構成比(平成6年) |