前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 7年版 犯罪白書 第2編/第4章/第2節/1 

第2節 犯罪者の国外逃亡と逃亡犯罪人の引渡し

1 犯罪者の国外逃亡

 警察庁刑事局の資料により,日本国内で犯罪を犯して国外に逃亡した被疑者の状況について見ると,次のとおりである。
 国外逃亡被疑者の数について,最近10年間の推移を見たのがII-58図である。近年,増加傾向を示しており,平成6年は308人となり,前年と比べ2人(0.7%)増加した。
 平成6年の国外逃亡被疑者合計308人を国籍(地域を含む。以下,本章において同じ。)別に見ると,日本が77人(総数の25.0%)で最も多い。外国籍(無国籍・国籍不明を含む。)231人中では,日本以外のアジア州の国籍の者が合計185人,南北アメリカ州の国籍の者が合計34人,ヨーロッパ州の国籍の者が合計6人等となっている。

II-58図 国外逃亡被疑者数の推移(昭和60年〜平成6年)

 平成6年の国外逃亡被疑者を罪種別に見ると,刑法犯の被疑者200人(うち,日本国籍47人)の内訳は,凶悪犯(ここでは,殺人,強盗,放火及び強姦をいう。)が81人(同2人)で最も多く,窃盗犯が50人(同8人),知能犯(ここでは,詐欺,横領,偽造,贈収賄及び背任をいう。)が46人(同29人),粗暴犯(ここでは,暴行,傷害,脅迫,恐喝及び凶器準備集合をいう。)が15人(同3人)等となっている。また,特別法犯の被疑者108人(同30人)の内訳は,薬物関係(ここでは,覚せい剤取締法違反,麻薬取締法違反及び大麻取締法違反をいう。)が77人(同14人)で最も多く,銃刀法違反が12人(同9人),入管法違反が12人(同4人)等となっている。
 平成6年の国外逃亡被疑者について,その推定逃亡先国(地域を含む。)を被疑者数の多い順に見ると,台湾30人(うち,日本国籍2人),フィリピン27人(同19人),韓国・朝鮮22人(同6人),アメリカ22人(同14人),香港19人(同5人)等となっている。
 また,平成6年の国外逃亡被疑者308人のうち,出国年月日が判明している被疑者は151人(うち,日本国籍47人)である。この151人の出国日が,それぞれの犯行日から何日目であったかについて見ると,犯行当日が8人(同2人),犯行翌日が18人(同4人),2日後が10人(同1人)となっている。犯行後10日以内に国外に逃亡した被疑者が合計で68人(45.0%),犯行後30日以内に国外に逃亡した被疑者が合計で87人(57.6%)となっている。