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 平成 7年版 犯罪白書 第2編/第3章/第3節/5 

5 恩  赦

 恩赦の効力による種類
大赦
 有罪の言渡しを受けた者について,その言渡しの効力を失わせる。
 有罪の言渡しを受けない者については,公訴権を消滅させる。
特赦
 有罪の言渡しを受けた特定の者について,その言渡しの効力を失わせる。
減刑
 刑の言渡しを受けた者について,刑を減軽し,又は刑の執行を減軽する。刑の執行猶予中の者については,刑の減軽と合わせて猶予の期間を短縮することができる。
刑の執行の免除
 刑の言渡しを受けた特定の者について,刑の執行を免除する。
復権
 有罪の言渡しを受けたため,法令の定めるところにより資格を喪失し,又は停止されている者について,その資格を回復させる。
 恩赦は,更に,これを行う方法によって分けると,政令で罪や刑の種類,基準日等を定めて,これに該当する者に対して一律に行われる政令恩赦(大赦,減刑及び復権)と,特定の者に対して個別的に審査した上で行われる個別恩赦(特赦,減刑,刑の執行の免除及び復権)とがある。
 このうち個別恩赦は,更に常時恩赦と特別基準恩赦とに分けられる。前者は,常時行われ,後者は,一般には政令恩赦が行われる際に同恩赦の要件から漏れた者などを対象として,内閣の定める基準により,一定の期間を限って行われるが,時には政令恩赦と関係なく,単独で行われる場合もある。
 個別恩赦が行われるには,まず,検察官,行刑施設の長又は保護観察所長が,職権により,又は本人の出願に基づいて,中央更生保護審査会に恩赦の上申をする。これを受けた同審査会が,審査を行い,恩赦を相当とした場合には,法務大臣に恩赦の申出を行い,法務大臣が閣議を請議し,これを受けた内閣が恩赦を決定し,次いで,天皇の認証を受け,恩赦の効力が生ずる。
(1) 常時恩赦
 常時恩赦について,平成6年に中央更生保護審査会が新たに受理した人員は104人で,これを繰越人員と合わせると205人となるが,そのうち恩赦の閣議決定が行われた人員は69人であり,同審査会が恩赦不相当とした人員は46人である。II-33表は,閣議において恩赦決定となった者を恩赦の上申者別及び種類別に見たものであるが,上申者別では保護観察所長が大半を占め54人(78.3%),種類別では復権が最も多く55人(79.7%),続いて刑の執行の免除10人(14.5%)となっている。

II-33表 常時恩赦の上申者・種類別人員

(2) 皇太子徳仁親王の結婚の儀に当たり行われた特別基準恩赦
 平成5年6月9日に皇太子徳仁親王の結婚の儀が行われるに当たり実施された特別基準恩赦は,6年6月28日に閣議決定された案件をもって全事件の処理が終結した。今回の特別基準恩赦の総受理件数は1,834件であり,恩赦決定のあったものは1,277件であった。