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 平成 7年版 犯罪白書 第2編/第3章/第3節/4 

4 更生保護会

 更生保護会は,法務大臣の認可を受けて更生保護事業を行う民間の団体である。同会には,宿泊保護等の直接保護事業を行うものと,この直接保護事業を助成するなどの連絡助成事業を行うものとの2種類があるが,通常,更生保護会といわれるものは,前者,すなわち直接保護事業を行う団体のことであり,ここでは,前者について述べることとする。
 更生保護会は,それぞれ男女別及び成人・青少年別に設置し,又は同一施設内を区分して被保護者を収容しているが,平成7年3月31日現在における種類別施設数(事業休止中の施設を除く。)を見たのがII-32表である。

II-32表 更生保護会の種類別施設数

 更生保護会は,[1]保護観察対象者又は更生緊急保護の対象者で,保護観察所長から委託された者(委託保護),[2]更生緊急保護の所定期間経過等のため委託が切れた者,委託がなされていない者等(任意保護)に対して,宿泊供与のほか,食事給与,就職援助,相談・助言等の保護を行っている。
 II-55図は,昭和55年以降における更生保護会への委託保護人員を被保護者の種類別に見たものである。60年から平成3年までは,委託保護人員総数が年々減少していたが,これを被保護者の種類別に見ると,仮出獄者が実数では減少しているものの比率では上昇し,そのため,適当な帰住先を見つけることが困難であるために更生保護会に頼らざるを得ない仮出獄者の比重が大きくなっていた。
 しかし,平成4年からは委託保護人員総数が増加に転じ,このうち仮出獄者は6年には若干増加し,比率も上昇している。これ以外の,保護観察対象者では保護観察付き執行猶予者が,保護観察以外の対象者では刑の執行猶予者と起訴猶予者が,それぞれ6年は前年に続いて増加している。

II-55図 更生保護会への委託保護人員の推移(昭和55年〜平成6年)

 II-56図は,昭和57年度(会計年度をいう。以下,本項において同じ。)以降における更生保護会の年間宿泊可能延べ人員,年間宿泊実延べ人員(任意保護を含む。),年度末施設数及び収容率を見たものである。収容率は,平成2年度までは,宿泊可能延べ人員,宿泊実延べ人員共に減少する傾向の中にあって,宿泊可能延べ人員の減少率が宿泊実延べ人員の減少率を上回ったため,昭和63年度及び平成元年度を除いて,若干上昇傾向にあった。
 しかし,平成3年度は,更生保護会が3施設増加し,これに伴って宿泊可能延べ人員が増加したにもかかわらず,宿泊延べ人員が横ばいであったことから,収容率がいったん低下したが,4年度から宿泊延べ人員は増加に転じ,収容率も前年に続き上昇し,5年度は58.5%となっている。

II-56図 更生保護会における宿泊保護人員の推移(昭和57〜平成5各会計年度)

 II-57図は,平成6年に刑務所を出所した者について,帰住予定地別構成比を見たものである。満期釈放者と仮出獄者に分けてみると,「更生保護会」に帰住する者の比率は,仮出獄者が満期釈放者に比べて格段に高く,その分,満期釈放者は「その他」(具体的な帰住予定地についてあてのない者を含む。)の占める比率が高くなっている。また,満期釈放者と仮出獄者とを合わせた総数について,入所回数別に見ると,入所回数の多い者ほど,父母等の引受人が得にくくなって,「更生保護会」や「その他」を帰住予定地とする者の比率が高くなっている。

II-57図 出所者の帰住予定地別構成比(平成6年)