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 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第6章/第2節/7 

7 来日外国人少年の使用言語及び面会・通信

 平成2年から4年までの来日外国人少年について,意思疎通,使用言語,面会・通信について見ることとする。
 少年鑑別所においては,入所した少年を明るく静かな環境に置いて資質鑑別を行うために,少年との間の意思疎通は極めて重要である。
 少年鑑別所職員との間における意思疎通の程度を,[1]特段の支障なし,[2]どうにか通じた,[3]通じなかったの三つの段階に区分したとき,33.3%の者については,[3]の「通じなかった」とされたが,在日期間が比較的長い窃盗少年については,この比率は15.6%であった。
 来日外国人少年の使用言語は,タイ語が46.7%と最も多く,次いで,中国語(福建語),スペイン語及びヴィエトナム語の順になっている。このため,来日外国人少年を収容した少年鑑別所においては,一方では入所少年の母国語に合わせて,中国語,タイ語,インドネシア語,ウルドゥ語等の日常会話集を職員用にそろえ,他方,少年には,母国語のビデオを観賞させたり,母国語の雑誌や漫画を備え付けて心情の安定を図るなどの措置等を執っているものの,来日外国人少年が使用する言語が20か国語近くに及んでいることから,少年鑑別所における意思疎通には,困難な面が少なくない。
 少年鑑別所の在所中に面会があった少年は,232人中45人であり,このうち,通訳人を介して面会をした少年は16人(9言語)であるが,この中で,通訳人が職員以外であった少年は12人(8言語)である。また,通信については,少年鑑別所の在所中に発受があった少年は,232人中39人であり,このうち,翻訳人を介して通信を行った少年は17人(10言語)であるが,この中で,6人(4言語)については職員以外によるものである。面会・通信を,男女別,非行名別に見ると,面会及び通信があった男子の比率は,それぞれ36.8%,29.9%であるが,女子の同比率は,いずれも9.0%であり,また,売春防止法違反の58人については,面会はなく,通信についてもわずか3人であった。