第3節 外国人受刑者の実態と意識 F級受刑者は,言語だけでなく,風俗・習慣,宗教上の慣行等において日本人受刑者と著しく異なる点があり,前述したように,職員との意思疎通の困難,他の被収容者とのトラブル発生等,その処遇には種々の問題が伴う。しかも,来日外国人の犯罪の増加に伴い,F級受刑者数の増加傾向は,今後も続く可能性が高く,外国人被収容者処遇の一層の充実を図っていく上で,F級受刑者の実態と意識に関する的確な現状認識が必要不可欠と思われる。そこで,法務総合研究所では,府中刑務所(男子刑務所)及び栃木刑務所(女子刑務所)の協力を得て,両刑務所に収容中のF級受刑者を対象として,平成2年及び5年の2回にわたり,職員が記載する「調査票」及びF級受刑者に対する「質問用紙」(いずれも同一の様式)を用いて,F級受刑者の特質とその意識を明らかにするために特別調査を実施した。 調査対象者は,平成2年及び5年の各11月10日現在,府中刑務所及び栃木刑務所に収容中のF級受刑者全員であり,2年は223人(男子203人,女子20人),5年は372人(男子333人,女子39人)である。 以下,主要な調査項目について,平成2年と5年の調査結果の対比を中心に記述する。
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