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矯正統計年報によると,平成5年の外国人新受刑者は734人であり,国籍別では,韓国・朝鮮457人,中国40人,アメリカ18人,その他219人である。このうち,「日本人と異なる処遇を必要とする外国人」と判定されたF級受刑者は,韓国・朝鮮1人(F級に分類された比率0.2%),中国26人(同65.0%),アメリカ17人(同94.4%),その他201人(同91.8%)である。総数で見ると,734人中の245人(33.4%)がF級に分類されており,これは,新受刑者総数の1.2%に当たる。
F級受刑者は,男子は府中刑務所及び横須賀刑務所に,女子は栃木刑務所に収容されている。平成5年末のF級受刑者数は,男子375人,女子39人,総数414人であり,,同じく5年末の外国人受刑者数1,424人中の29.1%を占めている。 IV-30図は,昭和59年から平成5年までの最近10年間のF級新受刑者数の推移を示したものである。 IV-30図 F級新受刑者数の推移 最近10年間のF級新受刑者の総数は,1,434人であり,このうち女子は121人(8.4%)であって,F級以外の新受刑者の女子比4.2%よりも4.2ポイント高い。IV-15表は,最近10年間のF級新受刑者の主要罪名別人員を見たものである。 IV-15表 F級新受刑者の主要罪名別人員 最近10年間のF級新受刑者等の入所時年齢はIV-16表,刑期(懲役)はIV-31図に示すとおりである。F級以外の新受刑者と比較すると,F級受刑者は,年齢の低い者,刑期の比較的長い者の構成比が,それぞれ高いといえる。最近10年間のF級新受刑者の配偶関係を見ると,「有配偶」が52.1%と過半数を占めており,F級以外の新受刑者の37.1%に比べ15.0ポイント高い。 IV-16表 F級新受刑者等の入所時年齢層別人員 IV-31図 F級懲役新受刑者等の刑期別構成比 F級受刑者について,特に処遇上の重点事項とされているのは,[1]意思の疎通を図ること,[2]厳正な規律の維持に努めること,[3]日本人被収容者とのトラブル発生に注意すること,[4]日本及び日本人に対する理解を深めさせることの4項目であり,これらの重点事項に従って処遇されているが,F級受刑者の国籍は,平成5年11月における法務総合研究所の調査によると39か国にわたり,使用言語は,中国語,英語,タイ語,タガログ語,ウルドゥ語など種類が多いので,職員との意思の疎通が容易ではない場合がある。また,言語が分からないため,他の被収容者とトラブルを生じることもあるので,その対策は,当面の重要な検討課題となっている。外国人受刑者には,その風俗・習慣に従い,必要に応じて,日本人とは異なる献立の食事及び飲料が支給され,所定の髪型以外の髪型による調髪等が認められる。また,外国語の図書等の閲読,信教の自由の保障等についても相応の配慮がなされている。 |