前の項目 次の項目 目次 図表目次 年版選択 | |
|
4 勾留と保釈等 IV-9表は,平成5年の地方裁判所・簡易裁判所による通常第一審における有罪人員について,通訳・翻訳人の付いた外国人,日本人別に,その身柄状況を見たものである。
IV-9表 通訳・翻訳人の付いた外国人,日本人別の身柄状況 外国人事件の勾留率及び保釈率は,それぞれ99.0%,3.4%となっているのに対し,日本人事件のそれは,それぞれ77.6%,22.0%となっている。通訳・翻訳人の付いた外国人事件の有罪人員の勾留率が,日本人事件に比べて高くなっているが,これは,起訴前における勾留の場合と同様に,通訳・翻訳人の付いた外国人については,上陸時あ在留資格が短期滞在の者が大半で,一般的には,国内における居住関係も安定していない者が多いことなどから,「住居不定」「逃亡のおそれ」等の勾留の要件を満たす場合が多いことなどの事情によるものと思われる。また,通訳・翻訳人の付いた外国人事件の有罪人員の保釈率が,日本人事件に比べて低くなっているが,これは,通訳・翻訳人の付いた外国人事件については,IV-9表のとおり,勾留期間が長期に及ぶ者の比率が,日本人事件に比べて低いこと,不法入国・不法残留の状態にある者が多く,そのため,仮に保釈されても,就労の場がなく,また,入管法に基づき収容令書又は退去強制令書によって収容されることが多いこと,保釈に際しては,相当額の保証金を用意する必要があることなどから,保釈を請求する者の割合が,日本人に比べて低いことなどの事情によるものと考えられる。IV-10表は,平成5年の地方裁判所・簡易裁判所による通常第一審における有罪人員について,通訳・翻訳人の付いた外国人,日本人別に,弁護人選任状況を見たものである。通訳・翻訳人の付いた外国人事件における弁護人選任率は99.4%で,私選弁護人が選任された比率が10.7%,国選弁護人が選任された比率が89.7%となっているのに対し,日本人事件における弁護人選任率は97.6%で,私選弁護人が選任された比率が32.6%,国選弁護人が選任された比率が66.3%となっており,外国人事件では,国選弁護人が選任された比率が高くなっている。 IV-10表 通訳・翻訳人の付いた外国人,日本人別の弁護人選任状況 |