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 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第2章/第3節/2 

2 退去強制の手続を執った外国人数

 (1)概  況
 最近10年間に退去強制の手続を執った外国人数及びそのうちに占める不法就労者数の推移は,IV-7図のとおりである。
 平成5年に入管法違反により退去強制の手続を執った外国人は,7万404人で,前年より3.8%増加している。法務省入国管理局の資料により違反事由別に見ると,不法残留が6万3,905人で,全体の90.8%を占めており,次いで,不法入国が,他人名義旅券行使事件,偽変造旅券行使事件及びいわゆる集団密航事件の多発に伴い,前年より51.1%増加の5,227人となっている。

IV-7図 退去強制の手続を執った外国人の数及び不法就労者数の推移

 (2)不法就労者の占める比率
 不法就労者とは,不法入国や不法残留をして就労活動を行った者のほか,許可を受けずに資格外の就労活動を行った者等を指すが,平成5年に退去強制の手続を執った外国人の91.4%に当たる6万4,341人が不法就労者であった。法務省入国管理局の資料によりその状況を見ると,次のとおりである。
 国籍別に見ると,そのほとんどがアジア諸国の者であり,タイが1万2,654人(19.7%)で最も多く,次いで,マレイシアが1万1,913人,韓国が1万1,865人,イランが8,866人,以下,中国及びフィリピンが各4,000人台,ペルー及びパキスタンが各1,000人台で続いている。上記のうち,タイ及びフィリピンは男子より女子が多く,この両国で女子全体の51.4%を占める。
 不法就労者が上陸時あるいはその後付与された在留資格別に見ると,「短期滞在」が5万1,889人で,全体の80.6%を占め,次いで,「就学」が6.1%,「興行」が1.0%,「留学」が0.3%,「研修」が0.3%などとなっており,前年に比べて「短期滞在」が4.9%減少した一方,「就学」が51.6%,「留学」が69.3%,「研修」が61.3%それぞれ増加するなど,多様な在留活動を装って入国する者が増加していると見られる。
 不法就労者の稼働場所を都道府県別で見ると,東京都が1万8,998人で,全体の29.5%を占め,次いで,神奈川県11.0%,烏玉県10.3%,千葉県9.6%,大阪府7.4%,茨城県7.1%と続いている。
 稼働内容別に見ると,男子は,建設作業員39.7%,工員31.6%,その他の労務作業者10.1%と続き,女子は,ホステス36.5%,工員18.1%,売春婦10.0%などとなっている。雇用主は,日本人が85.9%であるほか,韓国・朝鮮人が6.0%,中国人が2.5%などとなっている。雇用主が暴力団関係者であったものは,不法就労者,全体の3.1%に当たる1,968人で,うち,1,518人が女子であり,さらに,そのうちの1,249人がタイ国籍であった。