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 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第2章/第3節/1 

第3節 外国人の上陸拒否,退去強制の状況等

1 上陸拒否者数

 不法に就労することなどを目的として観光客等を装って入国する者は依然として跡を絶たず,その手段・方法も偽造・変造旅券又は他人名義の旅券を使用するなど,悪質・巧妙化の傾向にあり,入国審査官による上陸審査は,一層複雑・困難の度を増している。
 上陸審査等の結果,上陸許可条件に適合すると認定できないとして上陸を拒否した外国人数について,最近10年間における推移を見ると,IV-6図のとおりである。

IV-6図 上陸拒否者数の推移

 平成5年の上陸拒否者数は1万8,960人で,前年より26.4%減少しているが,この要因としては,イランとの査証相互免除の一時停止措置,マレイシア人に対する査証取得勧奨措置,タイ国政府による我が国への不法就労目的での渡航を自粛する広報活動の実施,厳格な査証発給審査及び上陸審査の実施による抑止効果等が考えられる。法務省入国管理局の資料により平成5年の上陸拒否者の状況を見ると,次のとおりである。
 国籍別に見ると,韓国が3,051人(16.1%)で最も多く,以下,タイ2,735人(14.4%),マレイシア2,279人(12.0%),フィリピン1,564人(8.2%),ペルー1,551人(8.2%),台湾1,120人(5.9%)などの順になっており,これら6か国で全体の64.9%を占めている。上陸拒否事由別に見ると,上陸目的を偽った虚偽申請事案が1万4,400人(75.9%)で最も多く,次いで,偽変造旅券・偽変造査証行使事案が3,427人(18.1%)などとなっている。また,最近5年間において,年間の上陸拒否者数の多かったものは,平成3年のイラン7,540人,3年のタイ6,738人,4年のタイ5,161人,3年のマレイシア4,875人などの順となっている。