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 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第2章/第1節/2 

2 出入国管理の現状

 (1)出入国管理業務の所管
 出入国管理行政が対象とする業務は,次の五つである。[1]すべての人の出入国の管理,[2]外国人に対する在留管理,[3]外国人に対する退去強制,[4]難民の認定(我が国に在留する外国人から難民認定の申請があった場合,これを審査して難民の認定・不認定を行う業務),[5]外国人の登録(我が国に在留する外国人の居住関係及び身分関係を明らかにする外国人の登録関係業務)。
 これらの業務は,法務省入国管理局が所管しており,その下に,平成5年末現在,全国で2か所の入国者収容所,8か所の地方入国管理局,4か所の支局及び97か所の出張所が設置されている。
 出入園管理業務に携わる職員としては,外国人に対する上陸審査及び出国確認,退去強制手続のうち違反審査及び違反審判又は在留資格審査のほか,日本人の出帰国の確認等に係る業務に従事する入国審査官,退去強制事由該当容疑者に係る違反調査,収容,送還,収容所等の警備等の業務に従事する入国警備官,一般行政事務に従事する法務事務官及び法務技官が置かれている。平成5年末現在の定員は2,097人であり,最近10年間の推移は,IV-3図のとおりである。
 (2)出入国管理基本計画の策定
 外国人の出入国及び在留の管理に関する施策は,長期的かつ総合的視点から計画する必要があり,その基本となるものとして,平成4年5月に,第1回の「出入国管理基本計画」が策定された。これによると,出入国管理行政が直面する諸問題のうち,特に重要と思われる次の四つの事項,すなわち,[1]円滑な人的交流の促進,[2]外国人労働者問題への対応,[3]我が国において技術等を修得する活動を行おうとする外国人の受入れの在り方,[4]不法就労外国人問題への対応に重点を置いて,基本方針が明らかにされている。このうち,不法就労外国人問題への対応については,不法就労外国人等,我が国社会の健全な発展を阻害する者について,その人権に配慮しつつも,厳正な方針・措置により,水際での入国阻止,不法就労の摘発及び定着化の防止を一層強化することを基本方針としている。

IV-3図 出入国管理行政に携わる職員定員の推移