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 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第10章/第2節/3 

3 外国人受刑者処遇の現状

 アメリカにおける受刑者処遇に関する統計の多くは,受刑者の国籍別ではなく人種別のものであるので,ここでは,アメリカの中で総人口,外国人人口共に最も多く,国籍別の統計も比較的整っているカリフォルニア州を取り上げ,その外国人受刑者処遇の状況を概観し,これを補完する意味で,人種別の受刑者処遇の状況についても付言する。
 カリフォルニア州矯正局の資料によると,1994年1月31日現在における同州の外国人受刑者は,2万3,536人(国籍不明者を除く。)で,受刑者総数の20.0%を占めている。これを国籍別に見ると,メキシコが73,8%で圧倒的に多く,以下,エル・サルヴァドル4.0%,ヴィエトナム2.3%,プエルト・リコ(アメリカの自治領)1.8%,キューバ1.6%などの順となっている。
 ところで,連邦司法省司法統計局の資料によって,1982年から1991年までの各12月31日現在における連邦刑務所の人種別受刑者数の推移を見ると,非白人の比率は,32%台から35%台までの数値をとり,ほとんど変動は見られず,1991年には34.5%となっている。白人以外の者では,黒人が91.9%を占め,以下,アメリカインディアン・アラスカ先住民4.9%,アジア・太平洋系人種3.2%となっている。
 同様に,カリフォルニア州における非白人の比率(人種不明を除く。)は,連邦刑務所の場合よりも若干高いものの,35%台から38%台までの間で推移し,ほとんど変動は見られず,1991年には36.8%となっている。
 なお,連邦,カリフォルニア州共に,行刑法令上,外国人受刑者の処遇について直接規定したものはないが,その言語,宗教,生活習慣等の差異に配意しつつ,自国人と同様の処遇を行っている。