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 平成 6年版 犯罪白書 第3編/第6章/第1節/2 

2 収賄事犯

 公務員犯罪の中でも,収賄事犯は,公務の公正に対する一般国民の信頼を損ない,遵法意識の低下を招くなど,その及ぼす影響は計り知れない。この種の事件は,収賄者,贈賄者の双方が罰せられることから,当事者だけで隠密裏に行われることが多い上,特定の被害者が存在しないことなども加わって,極めて潜在性が強い。したがって,事件の傾向を単年度の統計で推し量ることは適当でないので,最近10年間に収賄罪で検挙された公務員(みなす公務員を含む。)全員につき,これを昭和59年から63年までの5年間(以下,本節において「前期」という。)と,平成元年から5年までの5年間(以下,本節において「後期」という。)に分け,公務員の種類別に両者を比較して示したものが,III-40図である。検挙人員総数は,前期が808人,後期が400人減の408人となっており,いずれの公務員の種類においても検挙人員は減少傾向を示している。種類別に見ると,前期後期を通じて,地方公務員が最も多く,以下,地方公共団体の各種議員,国家公務員の順となっている。
 平成5年中に警察が検挙した事件の賄賂総額は2億292万円(前年より1億5,193万円,42.8%減)に上っており,収賄者1人当たりの賄賂額は225万円(前年より26万円,10.4%減)となっている(警察庁刑事局の資料による。)。

III-40図 収賄公務員の種類別検挙人員

 III-26表は,昭和63年から平成4年までの5年間における収賄事件の第一審裁判所の科刑状況を見たものである。4年中に懲役刑に処された者は前年と同数の75人で,そのうち懲役1年以上の刑に処された者は57人(76.0%)である。また,4年の執行猶予率は94.7%で,過去5年間で最も高い。なお,4年に収賄で有期懲役刑の実刑を言い渡された人員は4人で,その内訳は,刑期が3年の者が1人,2年以上3年未満の者が3人となっている(司法統計年報による)。

III-26表 収賄事件の第一審科刑状況