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2 麻薬等事犯 麻薬等事犯は,総じて増加傾向を示しているが,平成5年における麻薬等事犯の検挙状況から見て特に注目される事犯の動向は,[1]ヘロイン事犯が増加していること,[2]大麻事犯が大幅に増加傾向にあること,[3]来日外国人による事犯が急増していることの3点である。
平成5年における麻薬取締法違反検挙人員は,III-4図のとおり,353人で前年と比べ22人(7.7%)の増加となっている。その内訳を前年と比べてみると,コカイン事犯は126人で22人(14.9%)の減少,ヘロイン事犯は111人で18人(19.4%)の増加,向精神薬事犯は84人で29人(52.7%)の増加となっている。 大麻取締法違反検挙人員は,III-4図のとおり,昭和61年以降上昇傾向を示している。平成5年における大麻事犯は検挙件数2,871件,検挙人員2,055人で,前年と比べ,検挙件数で524件(22.3%),検挙人員で416人(25.4%)と大幅に増加している。 III-4図 麻薬取締法違反及び大麻取締法違反の検挙人員の推移 平成5年におけるあへん法違反の検挙件数は165件,検挙人員は132人で,検挙件数で61件(59.8%),検挙人員で41人(45.1%)と大幅に増加している(厚生省薬務局の資料による。)。平成5年における来日外国人による麻薬等事犯検挙人員は449人で,前年と比べ169人(60.4%)増加している。これを国籍別に見ると,イランが190人(総数の42.3%)で最も多く,次いで,マレイシア69人(同15.4%),タイ33人(同7.3%),コロンビア32人(同7.1%),アメリカ20人(同4.5%)などとなっている。さらに,事犯別に国籍を見ると,コカイン事犯ではコロンビアが29人(同事犯の60.4%),ヘロイン事犯ではマレイシアが54人(同79.4%),向精神薬事犯ではタイが16人(同88.9%),あへん事犯ではイランが60人(同96.8%),大麻事犯ではイランが117人(同47.8%)となっている(警察庁生活安全局の資料による。)。 III-1表は,最近5年間における麻薬等の押収量を示したものである。麻薬等の押収量は年次による増減が著しいが,平成5年では,大麻,LSD及びヘロインの押収量の増加が目立ち,特に大麻の押収量は約675.4kgで,前年と比べ約413.8kg増加し,過去最高を記録している。 III-1表 麻薬等の押収量 麻薬等事犯に対する暴力団勢力の関与状況を麻薬取締法違反に限って見ると,検挙人員に占める暴力団勢力の比率は,平成5年では15.4%で,覚せい剤取締法違反ほど高くはない(警察庁の統計による。)。しかし,特にコカインについては,平成元年に我が国に進出を開始した南米のコカイン・カルテルがその販路の拡大を求めて国内での密売活動を活発化していることがうかがわれるほか,国内の暴力団も,これを覚せい剤,大麻に次ぐ資金源として密売に組織的に介入しようとする動きを示しており,その汚染の拡散・浸透が引き続き憂慮されている。 |