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覚せい剤,シンナー等の薬物が少年の心身に及ぼす悪影響は,計り知れないものがある。
III-5図は,昭和45年から平成5年までの間における少年による覚せい剤事犯検挙人員の推移を見たものである。少年による覚せい剤事犯は,昭和57年をピークとして減少していたが,平成3年,4年と増加し,5年には986人で,前年と比べ31人(3.0%)と若干減少している。 III-5図 少年による覚せい剤事犯検挙人員の推移 なお,少年による覚せい剤事犯のうち女子の占める比率は,平成2年以降引き続き50%を超え,5年では50.4%となっている(厚生省薬務局の資料による。)。平成5年における少年による大麻取締法違反検挙人員は251人で,前年と比べ33人(15.1%)増加している(厚生省薬務局の資料による。)。 このように,少年の薬物犯罪では,覚せい剤以外にも,新たな薬物等を濫用する傾向が見受けられ,その取締りの強化が引き続き要請されている。 III-6図は,昭和47年から平成5年までの間における少年による毒劇法違反送致人員の推移を見たものである。少年による毒劇法違反送致人員は,昭和57年に2万9,254人とピークに達した後,引き続き2万人台で推移していたが,平成4年に2万人台を割り,5年には1万1,152人で,前年と比べ5,817人(34.3%)の大幅な減少となっている。 III-6図 少年による毒劇法違反送致人員の推移 平成5年に全国の少年鑑別所に入所した少年について入所前の問題行動歴を見ると,シンナー等の濫用歴がある者は,男子では55.2%,女子では71.3%となっている。この数値は,少年による毒劇法違反人員がピークに達した昭和57年当時とほとんど変わらず,シンナー等が依然として少年たちの間で流行していることを裏づけている(法務省矯正局の資料による。)。シンナー等は,覚せい剤等と比べ,その入手が容易であるため,少年によって手軽に濫用されるおそれがあり,上述のように毒劇法違反送致人員が大幅に減少したといっても,その動向には,今後とも注視していく必要がある。 |