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 平成 4年版 犯罪白書 第1編/第2章/第8節/3 

3 高齢犯罪者の処遇

 I-56表は,刑事手続及び処遇の各段階における高齢者数及び高齢者比を,男女別に示したものである。

I-55表 高齢者の刑法犯罪名別検挙人員

I-56表 刑事手続及び処遇の各段階における高齢者数及び高齢者比

 まず,男女別に高齢者比を見ると,いずれの段階においても,女子が男子よりも高くなっている。次に,平成3年において,検察庁が終局処理した刑法犯のうち起訴及び起訴猶予とした人員(交通関係業過,法人並びに男女別不詳及び年齢不詳を除く。)は10万3,215人であるが,このうち高齢者は4,083人で,高齢者比は4.0%となっている。これを昭和61年に比べると,高齢者数で15.9%減となっているものの,高齢者比では0.8ポイント上昇している。
 なお,検察統計年報によると,平成3年における起訴猶予率は,高齢者を含めた全体では35.7%であるのに対して,高齢者のみでは47.9%であり,高齢者の起訴猶予率が高くなっている。また,男女別の起訴猶予率は,男子では,全体の起訴猶予率が32.4%であるのに対し,高齢者のそれは43.1%であり,女子では,全体が67.6%であるのに対し,高齢者のそれは74.9%となっている。
 平成2年において,地方裁判所及び簡易裁判所が公判手続により処理した刑法犯有罪人員は3万6,535人であり,このうち高齢者は1,337人で,高齢者比は3.7%となっている。これを昭和60年に比べると,高齢者数で6.2%増,高齢者比で1.2ポイント上昇している。
 平成3年における新受刑者数は2万1,083人であり,このうち高齢者は795人で,高齢者比は3.8%となっており,これを昭和61年に比べると,高齢者数で0.5%増,高齢者比で1.2ポイント上昇している。高齢受刑者に対しては,その身体的,精神的状況に応じた処遇が行われているが,特に,老衰現象が相当程度認められる者及び身体が虚弱であるために特別な処遇が必要と認められる者については,刑務作業を軽減し,医療的な配慮を加えるなどの措置が採られている。
 平成3年において保護観察所が新たに受理した保護観察対象者は,まず,仮出獄者について見ると,1万3,831人であるが,このうち高齢者は513人で,高齢者比は3.7%となっており,これを昭和61年に比べると,高齢者数では50.4%増,高齢者比で1.8ポイント上昇している。次に,保護観察付執行猶予者について見ると,4,645人であるが,このうち高齢者は90人で,高齢者比は1.9%となっており,これを61年に比べると,高齢者数で20.0%増,高齢者比で0.7ポイント上昇となっている。このような高齢の保護観察対象者に対しては,高齢者特有の個人的問題や保護環境面の障害等に応じて,個別的処遇が実施されており,例えば,更生保護会への委託などのほか,公共職業安定所や老人福祉機関との連携の下に,就労先の確保や福祉施設への入所等について努力が払われている。