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 平成 3年版 犯罪白書 第4編/第5章/第1節 

第5章 高齢化社会と更生保護

第1節 概  説

 本章では,仮出獄者,保護観察付執行猶予者及び更生保護会在会者を取り上げた上,高齢化社会を反映して更生保護の分野でどのような変化が生じているか,その変化に伴う更生保護対象者の特質と処遇上の問題点について述べることとする。
 IV-64表は,仮出獄者について,IV-65表は,保護観察付執行猶予者について,いずれも昭和41年以降の5年ごとと61年以降における保護観察新規受理人員を年齢層別に見たものである。また,41年以降の仮出獄者新規受理人員の年齢層別構成比を示したのがIV-94図であり,同様に保護観察付執行猶予者新規受理人員の年齢層別構成比を示したのがIV-95図である。

IV-64表 仮出獄者の年齢層別甲規受理人員(昭和41年,46年,51年,56年,61年〜平成2年)

IV-65表 保護観察付執行猶予者の年齢層別新規受理人員(昭和41年,46年,51年,56年,61年〜平成2年)

 仮出獄者について見ると,昭和41年から平成2年にかけて,実人員では,30歳未満及び30代の者が減少傾向にあるのに対し,40代,50代,60歳以上の各年齢層共に増加傾向にあり,これを年齢層別構成比で見ると,40歳以上の中高年齢層は16.3%から46.5%へと30.2ポイント上昇している。
 保護観察付執行猶予者について見ると,昭和41年から平成2年にかげて,実人員では,30歳未満及び30代の者が減少傾向にあるのに対し,40代,50代,60歳以上の各年齢層共に増加傾向にあり,これを年齢層別構成比で見ると,40歳以上の中高年齢層は9.3%から28.9%へと19.6ポイント上昇しているが,保護観察付執行猶予者における中高年齢層の比率は,仮出獄者のそれに比べると低い。
 このように,仮出獄者及び保護観察付執行猶予者においては,昭和41年以降,中高年齢層の構成比が上昇しており,特に仮出獄者の場合,その傾向が保護観察付執行猶予者に比べて顕著である。

IV-94図 仮出獄者の新規受理人員年齢層別構成比(昭和41年〜平成2年)

IV-95図 保護観察付執行猶予者の新規受理人員年齢層別構成比(昭和41年〜平成2年)