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 平成 3年版 犯罪白書 第4編/第4章/第6節/4 

4 各国受刑者の年齢層別比較

 これまで,比較対象国それぞれに,受刑者数及び構成比の推移を見てきたが,可能な範囲で,これら各国と日本との比較を試みることとする。
 各国の成人在所受刑者中に占める40歳以上の中高年受刑者の年齢層別構成比は,IV-63表及びIV-92図に示すとおりである。我が国の40歳以上の中高年齢受刑者の構成比が際だって高く,かつ,60歳以上の高齢受刑者の構成比が極めて高いことが明らかである。
 各国の,60歳以上の高齢在所受刑者について,その人員の推移を1980年を基準とした指数で表したのが,IV-93図である。これを見ると,我が国の高齢受刑者は,構成比においてのみならず,人員についても,この10年間を通し,一貫して大きく増加し続けてきたことが分かる。これに対し,我が国以外の比較対象国では,我が国とは異なった増減の推移を示しており,中高年齢受刑者の人員は,1980年に比べて最近ではいずれの国も増加はしているものの,我が国ほど顕著なものではない。

IV-63表 各国40歳以上の在所受刑者の成人在所受刑者中に占める構成比

IV-92図 各国40歳以上の在所受刑者の成人在所受刑者中に占める構成比

IV-93図 各国60歳以上の在所受刑者数の推移(1980年〜1990年)

 以上見てきたように,我が国の場合,40歳以上の中高年齢在所受刑者,とりわけ60歳以上の高齢受刑者の,人員及び構成比の急激な増加という点で,比較対象国のいずれとも異なる状況にあることが明らかである。
 我が国のこのような特徴的な傾向が,いかなる理由ないし背景によるものであるかを分析することが,今後に残された課題である。