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 平成 3年版 犯罪白書 第4編/第4章/第6節/3 

3 諸外国の年齢層別受刑者の推移

 我が国の年末在所受刑者の年齢層別構成比の推移については,先に本章概説の中で,IV-21表及びIV-37図に示したが,その人員について,1980年を基準とした指数をとり,その推移を表したものがIV-77図である。両図を合わせて見ると,20代の漸減,30代の減少,40代の漸増ないし横ばい,わけても50代及び60歳以上の急激な増加が特徴的である。
 以下,各国について,受刑者の年齢層別に,人員及び構成比の推移を見ることとする。
(1) フランス
 IV-54表,IV〜78図及びIV-79図は,1980年以降の,フランスにおける,各年1月1日現在の在所受刑者数の推移を示したものである。IV〜78図は,在所受刑者数の推移について,1980年を基準とした指数で表している。最近では1989年及び1990年に減少を示したが,ここ10年ではおおむね増加傾向にあると見られ,しかも各年齢層にほぼ等しくその傾向が認められる。高齢受刑者については,IV-79図に見るとおり,構成比には大きな変化は見られない。

IV-54表 在所受刑者の年齢層別人員フランス(1980年〜1991年各1月1日現在)

IV-78図 年齢層別在所受刑者数の推移フランス(1980年〜1991年各1月1日現在)

IV-79図 在所受刑者の年齢層別構成比の推移フランス(1980年〜1991年各1月1日現在)

(2) スウェーデン
 IV-55表及びIV-80図は,1989年以降の,スウェーデンにおける,各年3月1日現在の在所受刑者の年齢層別人員及び構成比を示したものであり,IV―81図は,同国の1985年から1989年までの各年に刑務所に入所した新受刑者数の推移を示したものである。IV-80図によると,在所受刑者の年齢層別構成比には,大きな変化は見られない。

IV-55表 在所受刑者の年齢層別人員スウェーデン(1989年〜1991年各3月1日現在)

IV-80図 在所受刑者の年齢層別構成比の推移スウェーデン(1989年〜1991年各3月1日現在)

IV-81図 新受刑者数の推移スウェーデン(1985年〜1989年)

(3) ドイツ
 IV-56表,IV一82図及びIV-83図は,1980年以降の,ドイツにおける,各年3月31日現在の在所受刑者数の推移を,それぞれ年齢層別人員,1980年を基準とした指数及び年齢層別構成比で示したものである。この9年間では,総数において,1984年にピークを示した後,1988年にはほぼ1980年の数値に戻っている。年齢層別では,IV-82図によると,50代及び60歳以上の増加が目立つが,その実数は少数であるため,IV-83図に見るとおり,構成比にはほとんど変化を与えていない。これは,我が国の場合,実数が大きいため,構成比にも影響を及ぼしているのと相違している。なお,1989年以降については,資料が入手できなかったため,掲載していない。

IV-56表 在所受刑者の年齢層別人員ドイツ(1980年〜1988年各3月31日現在)

IV-82図 年齢層別在所受刑者数の推移ドイツ(1980年〜1988年各3月31日現在)

IV-83図 在所受刑者の年齢層別構成比の推移ドイツ(1980年〜1988年各3月31日現在)

(4) アメリカ
 ア 連邦刑務所
 IV-57表及びIV-84図は,1980年以降における,アメリカ連邦刑務所の各年9月30日現在の在所受刑者の年齢層別人員及び構成比を示したものである。収容される犯罪者の罪名が,例えば麻薬犯とか複数の州にまたがる経済犯等,年齢の比較的高い者が犯すことが多いと思われる特殊なものに限定されていることからして,受刑者の年齢が高くなっていると推測もされるところであり,そのまま比較するには適さないが,参考までに掲載するものである。なお,連邦刑務所に関しては,1987年以降は統計方法の変更のため,掲載していない。

IV-57表 在所受刑者の年齢層別人員アメリカ連邦刑務所(1980年〜1986年各9月30日現在)

IV-84図 在所受刑者の年齢層別構成比の推移アメリカ連邦刑務所(1980年〜1986年各9月30日現在)

 イ 州立刑務所
 IV-58表及びIV-85図は,アメリカの州立刑務所の在所受刑者の構成比を示したものである。州立刑務所は,連邦刑務所と異なり,より一般的な犯罪を犯した受刑者を収容しており,今回の比較対象として連邦刑務所よりは適しているが,年齢層の区切りが他の諸国の資料と異なっており,また,各年連続した統計は取られておらず,1987年以降の統計は入手できなかったため,掲載していない。

IV-58表 在所受刑者の年齢層別構成比アメリカ州立刑務所(1979年,1986年)

IV-85図 在所受刑者の年齢層別構成比アメリカ州立刑務所(1979年,1986年)

(5) デンマーク
 IV-59表及びIV-86図は,デンマークにおける,1982年以降の,罰金より重い有罪判決を受けた刑法犯について,IV-60表及びIV-87図は,1980年以降の,新受刑者について,それぞれ人員及び構成比の推移を示したものである。IV-86図について見ると,総数,20代,30代及び40代では増加しているが,50歳以上では,横ばい又は減少となっている。しかし,その構成比を見ると,20代が3分の2近くを占め続け,40歳以上については,1982年以降ほとんど変化が見られない。これに対し,IV-87図により受刑者について見ると,1985年までは総数及び各年齢層の増加,特に40代の突出した増加が目立ったが,1985年以降は,いずれも横ばいないし漸増となっている。一方,その構成比を見ると,20歳以上が過半数を占め続け,40歳以上についてはほとんど変化のないことが認められる。

IV-59表 罰金より重い有罪判決表受けた刑法犯の年齢層別人員デンマーク(1982年〜1988年)

IV-86図 罰金より重い有罪判決を受けた刑法犯の年齢層別人員及び構成比の推移デンマーク(1982年〜1988年)

IV-60表 新受刑者の年齢層別人員デンマーク(1980年〜1989年)

IV-87図 新受刑者の年齢層別人員及び構成比の推移デンマーク(1980年〜1989年)

(6) イギリス
 IV-61表,IV-88図及びIV-89図は,1980年以降の,イギリスにおける,各年6月30日現在の在所成人受刑者数の推移を見たものである。IV-88図によると,各年齢層における在所受刑者数は,いずれもおおむね漸増の傾向にある。IV-89図を見ると,各年齢層の構成比がここ10年間ほとんど変わらず,特に40歳以上の中高年齢層については,安定していることが認められる。

IV-61表 在所受刑者の年齢層別人員イギリス(1980年〜1989年各6月30日現在)

IV-88図 年齢層別在所受刑者数の推移イギリス(1980年〜1989年各6月30日現在)

IV-89図 在所受刑者の年齢層別構成比イギリス(1980年〜1989年各6月30日現在)

(7) 韓  国
 IV-62表,IV-90図及びIV-91図は,1980年以降の,韓国における,各年12月31日現在の在所受刑者数の推移を,1980年の在所受刑者数を基準とした指数と,構成比について見たものである。1982年から1986年にかけての50代及び60歳以上については,特徴的な変動があるものの,全般としておおむね大きな変化は見られない。

IV-62表 在所受刑者の年齢層別人員韓国(1980年〜1989年各12月31日現在)

IV-90図 年齢層別在所受刑者数の推移韓国(1980年〜1989年各12月31日現在)

IV-91図 在所受刑者の年齢層別構成比の推移韓国(1980年〜1989年各12月31日現在)