前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 3年版 犯罪白書 第4編/第4章/第4節/1 

第4節 受刑者の特質と意識の関係

1 概  要

 本節では,第2節において解説した実態調査から得られた50歳以上の高年群受刑者の特質と第3節で紹介した高年群受刑者の意識とを関連づけて見た結果の主要な点について述べる。
 本章の概説で既に述べたとおり,50歳以上の高年群受刑者において見られる主要な罪名は,窃盗,詐欺,殺人,業過,覚せい剤取締法違反及び道路交通法違反であるが,矯正統計年報に基づき,これら6罪名につき,平成2年における新受刑者の年齢層別(20歳から10歳刻みと60歳以上)の構成比を初入・再入別に見たのがIV-66図であり,この図から明らかなように,窃盗,詐欺及び覚せい剤取締法違反が50歳以上の再入新受刑者の罪名を代表するものであるのに対して,同じ年齢層の初入新受刑者の罪名は,構成比に差はあるものの6罪名のそれぞれに分散しており,このことは今回の実態調査結果とも一致している(本章第2節2(2)参照)。そこで,以下,これら6罪名を中心に今回の特別調査の結果を分析することとする。ただし,再入受刑者については,調査対象者の実数が少ない殺人,業過及び道路交通法違反の3罪名を分析から除外している。