第4章 高齢化社会と矯正
第1節 概 説 本章においては,我が国が急速に高齢化社会に入りつつある中で,その影響を受け,矯正の分野でどのような変化が生じているか,その実態を明らかにし,これに対応した矯正処遇の方策について述べることとする。まず,本節では,主として矯正統計年報に基づき,年齢層別に見た受刑者の動向に関する数量的な資料を提供し,次いで,第2節では,特別調査の結果について50歳以上の受刑者に焦点を当てて,その特質を分析・検討する。続いて,第3節では,50歳以上の受刑者の生活意識等を知るために実施したアンケート調査の結果を紹介し,第4節では,受刑者の特質と意識との関係を解説し,第5節では,60歳以上の受刑者(以下本章において「高齢受刑者」という。)を対象とした処遇の現状及び将来の課題について述べる。なお,以上の各節においては,必要に応じて,初人受刑者(新受刑者中初めて入所した者)と再入受刑者(新受刑者中入所度数が2度以上の者)を対比してそれぞれの特質等を記述する。さらに,第6節では,40歳以上の中高年齢受刑者につき,入手し得た資料に基づいて,我が国と諸外国の実情を比較する。
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