傷害の法定刑の種類には,懲役のほか,罰金及び科料もある。
検察統計年報には,年齢層別に公判請求人員と略式命令請求人員とを区分した数値が掲載されていないので,被疑者調査票に基づいて調査した結果から,昭和55年以降の公判請求,略式命令請求,起訴猶予の各人員等を示したものがIV-14表である。また,IV-26図は,公判請求人員のみについて年齢層別構成比を示したもの,IV-27図は,起訴人員と起訴猶予人員との合計に占める公判請求人員の割合を示したものである。窃盗及び詐欺の各事犯と同様,公判請求人員に占める40歳以上の中高年齢層の者の割合は増加傾向にあることが分かる。
IV-26図 傷害の公判請求人員年齢層別構成比(昭和55年〜平成2年)
IV-27図 傷害の年齢層別公判請求率(昭和55年〜平成2年)
IV-15表は,最高裁判所の資料により,昭和55年から10年間に,地方裁判所において傷害(ただし,傷害致死,尊属傷害致死及び傷害助勢を除く。)により懲役刑の判決を受けた者について,実刑判決・執行猶予判決別,年齢層別に,人員と刑期合計を示したもの,IV-28図は,IV-15表から,実刑判決について,年齢層別に人員と刑期合計の構成比を算出し,対比して見たものである。
これらの図表によって40歳以上の中高年齢層の者の実刑判決人員における各構成比を見ると,[1]人員構成比は,昭和55年の21.5%から平成元年の36.9%まで上昇していること及び[2]刑期合計構成比も,上昇してはいるが,昭和60年及び平成元年の場合を例外として,いずれの年次をとっても,人員構成比より若干低い数値で推移していることが分かる。したがって,昭和60年及び平成元年の場合を例外として,傷害により実刑判決を受けた者のうち,中高年齢層の者の犯罪性は,より若い年齢層の者の犯罪性と比べると,ごくわずかではあるが,相対的に低いことが読み取れる。
IV-15表 傷害の実刑・執行猶予判決別,年齢層別人員及び刑期合計
IV-28図 傷害実刑判決における人員及び刑期合計の年齢層別構成比比較(昭和55年〜平成元年)