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 平成 3年版 犯罪白書 第4編/第2章/第2節 

第2節 犯罪被害

 60歳以上の高齢者は,どのような犯罪の被害者になりやすいのであろうか。
 IV-4表は,昭和47年以降について,被害者が高齢者である刑法犯の認知件数を主要な罪名別に示したものである。平成2年において,交通関係業過を除く刑法犯のうち,被害者が高齢者である事犯は10万8,074件であるが,そのうち窃盗が9万4,272件(87.2%)を占める。窃盗以外では,詐欺,器物損壊,住居侵入,傷害などによる被害が比較的多く,中でもここ数年は,器物損壊の被害が増えている。

IV-4表 被害者が高齢者である刑法犯の主要罪名別認知件数(昭和47年,55年,60年〜平成2年)

 IV-8図は,平成2年における被害者の年齢層別刑法犯の認知件数の構成比を主要罪名別に示したものである。高齢者が被害に遭いやすい罪名としてはまず放火が挙げられ,詐欺,横領(占有離脱物横領を除く。)や住居侵入の被害がこれに次ぐ。窃盗の被害における高齢者の比率は低い(7.1%)が,侵入盗に限れば16.2%となる。半面,強姦・強制猥褻や恐喝,暴行などの被害における高齢者の比率は小さい。総じていえば,高齢者は相対的に,身体に関する被害は受けにくく,住居や財産に関する被害に遭いやすいということができよう。

IV-8図 刑法犯の主要罪名別・被害者の年齢層別認知件数の構成比(平成2年)