交通犯罪には種々の態様のものがあるが,ここでは,交通関係業過及び道交違反(「道交違反」の定義は,凡例参照)を取り上げることとする。
交通犯罪は,自動車保有台数及び自動車運転免許保有者数の増加に伴う道路交通の量的増大と密接に関連して推移してきているが,自動車の保有台数は,依然として増加傾向にあり,警察庁交通局の統計によれば,平成2年には,前年より約264万台(4.3%)増加して約6,457万台になった。なお,原動機付自転車は,前年より約49万台(3.5%)減少して約1,354万台となっている。また,自動車運転免許保有者数も増加を続けており,2年末には,前年より約175万人(3.0%)増加して,約6,091万人となっている。このうち,女子の占める比率は前年の37.0%から37.6%に上昇している。
I-37表は,最近5年間における人の死傷を伴った交通事故の発生件数及び死傷者数を示したものである。交通事故の発生件数は増加を続けていたが,平成2年は前年より減少している。
交通事故による死亡者は,戦後急激に増加し,昭和45年には1万6,765人の多きを数えた。その後次第に減少し,51年以降は,1万人を超えることなく推移してきたが,63年に再び1万人を超え,平成2年は前年より1.3%増加して1万1,227人となっている。死亡者を事故態様で分類すると,自動車乗車中40.1%,歩行中27.1%,自動二輪車及び原動機付自転車乗車中22.2%,自転車乗車中10.3%などとなっている(警察庁交通局の資料による。)。
I-38表は,人の死傷を伴う交通事故を起こした自動車を車種別に見たものである。普通乗用自動車の占める比率が最も高い。
I-37表 交通事故の発生件数及び死傷者数(昭和61年〜平成2年)
I-38表 車種別交通事故発生件数の構成比(昭和61年〜平成2年)
事故の類型を見ると,平成2年では,車両相互間の事故が52万7,099件で交通事故全体の82.0%を占め,そのうち33.7%が出会い頭の衝突,29.3%が追突事故となっている。人対車両の事故は7万9,634件(12,4%),車両単独の事故は3万6,106件(5.6%)である(警察庁交通局の資料による。)。