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 平成 3年版 犯罪白書 第1編/第2章/第2節/1 

第2節 暴力団犯罪

1 概  説

 暴力追放の幅広い国民世論と厳しい取締りにもかかわらず,暴力団は,依然として根強くその勢力を維持し,市民生活に大きな不安を与え続けており,暴力団対策は当面の重要な課題である。
 警察庁刑事局の資料によると,平成2年末現在における暴力団は,団体数が3,305団体,団員数が8万8,259人であり,前年に比べ,団体数で150団体,団員数で999人,それぞれ増加している。広域暴力団(2以上の都道府県にわたって組織を有する暴力団をいう。)のうち,特に悪質かつ大規模な広域暴力団で,警察庁が集中取締りの対象として指定している3団体に所属する暴力団は,団体数が1,660団体(暴力団全体の50.2%),団員数が4万2,622人(暴力団員全体の48.3%)であり,前年に比べ暴力団全体に占める比率は,団体数で4.0ポイント,団員数で5.1ポイントそれぞれ上昇している。したがって,暴力団の現状は,特に大規模な広域暴力団による寡占化の傾向が一層進展しているといえる。
 I-28表は,最近5年間における暴力団相互の対立抗争事件を見たものである。平成2年の対立抗争事件の発生回数は146回である。そのうち銃器が使用されたのは80.8%の118回であり,しかも,繁華街,ホテルのロビーなどで発砲して一般市民を巻き添えにした場合が少なくない。

I-28表 暴力団対立抗争事件の発生状況(昭和61年〜平成2年)

I-29表 暴力団関係者からのけん銃押収数(昭和61年〜平成2年)

I-12図 暴力団員の検挙人員の推移(昭和31年〜平成2年)

 最近5年間の暴力団関係者から押収したけん銃の種類別押収数は,I-29表のとおりである。