前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 2年版 犯罪白書 第3編/第6章/第4節/1 

第4節 フランス

1 少年非行の動向

 フランスの刑法犯検挙人員について,その総数及び13歳以上18歳未満の少年検挙人員の,198昨から1988年までの推移を見ると,III-62図のとおりである。また,III-118表は,刑法犯について,1980年及び1986年から1988年までの3年間における検挙人員総数,少年の検挙人員,少年比及び少年,成人の各人口比を示したものである。それを特に,特定6罪種について見たものがIII-119表である。なお,フランスでは,刑事法上青年という概念がなく,また,入手可能な統計からは,若年成人の検挙人員が算出できないので,青年については掲記しない。

III-62図 刑法犯検挙人員の推移フランス(1980年〜1988年)

III-118表 刑法犯検挙人員・少年比及び人口比フランス(1980年,1986年〜1988年)

 少年の刑法犯検挙人員は,総数については,1983年に10万7,000人を超え,ピークを記録して以降減少傾向に転じ,1986年には10万人を割り,1988年では9万2,143人となっている。また少年比の推移を見ると,1980年に15.2であったのが1986年には11.2にまで下がり,その後の2年間も12.0にとどまっている。一方,少年人口比は1988年で14.2であり,成人のそれ(16.3)を下回っている。以上のように,フランスの少年非行は,少年刑法犯検挙人員を見た限りでは,近年減少傾向を示しており,1970年代に見られたその増加傾向と比較して様相を異にしている。
 次に,特定6罪種について見ると,人口比において少年が成人よりも高いのは,強盗,窃盗,強姦及び放火の各罪種であり,特に窃盗及び放火の少年人口比は,それぞれ成人人口比の2倍を超えている。