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 平成 2年版 犯罪白書 第3編/第6章/第3節/3 

3 少年司法の運用

 III-114表は,1987年における有罪人員(交通犯罪を含む。以下同じ。)を年齢層別に見たものであるが,有罪人員総数約69万人のうち,少年は約5万人,青年は約8万人で,併せて約13万人である。青年の有罪人員のうち,約3万人は通常の刑事裁判手続がとられており,残りの約5万人が,少年裁判所法の適用を受けている。

III-114表 刑法犯の少年・青年・成人別有罪人員西ドイツ(1987年)

III-115表 少年裁判所における少年・青年別刑法犯有罪人員及び処分別件数西ドイツ(1987年)

III-116表 少年裁判所における少年・青年別懲戒処分件数西ドイツ(1987年)

III-117表 少年裁判所における主要罪種別・処分の種類別有罪人員西ドイツ(1987年)

 III-115表は,少年裁判所における有罪人員に対する同年の処分別件数を,少年,青年別に見たものである。前述のように,処分は併科され得るので,処分総数は有罪人員よりもかなり多くなっている。懲戒処分は特に多く科せられているが,教育処分は少年に,少年刑は青年に,相対的に多く言い渡されていることがわかる。
 III-116表は,少年,青年別に同年の懲戒処分の内容を見たものである。少年拘禁は,少年,青年とも1万件弱であるが,少年の方にやや多く適用されている。戒告も少年に多い。義務の賦課は青年に多く科せられているが,その大半は,金銭の支払である。
 III-117表は,少年裁判所における有罪人員について,主要罪種別に,処分の種類及び少年刑の刑期を見たものである。少年刑は,殺人で95.2%,強姦で88.5%,強盗・恐喝で69.6%の者にそれぞれ科せられているのに対して,窃盗・横領では17.9%,傷害では15.3%にとどまっている。
 なお,ここ数年の傾向を見ると,有罪人員については,成人でも漸減傾向にあるが,青・少年,特に少年の減少は著しい。自由刑の判決を受けた成人にはやや増加が見られる反面,青年は激減し,少年裁判所における少年刑及び懲戒処分についても,青年が漸減,少年は急減している。ただ,逆に,青年で教育処分を受ける者が著しく増加したのが注目される。