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1 概 説 少年鑑別所は,家庭裁判所の観護措置の決定によって送致された少年を,一定期間収容するとともに,家庭裁判所が行う少年の調査及び審判並びにその後の保護処分の執行に役立てるために,医学,心理学,教育学,社会学等の専門知識に基づいて少年の資質の鑑別を行う施設であり,原則として,家庭裁判所の本庁所在地にこれに対応して設置されている。平成元年12月末現在,少年鑑別所は,全国に本所51庁,支所2庁が設置されている(その後,2年6月8日に八王子少年鑑別支所が本所に昇格した。)。少年鑑別所への収容には,上記の観護措置による場合のほか,勾留に代わる観護の措置,勾留,仮収容,留置等による収容があるが,観護措置による収容が最も多く,元年では新収容者の91.1%を占めている。次に多い勾留に代わる観護の措置は,7.6%である。
III-72表は,昭和45年から5年ごとと60年から,63年までの家庭裁判所による観護措置決定の推移を見たものである。これによると,家庭裁判所の新規受理人員に占める観護措置決定人員の比率は,,一般保護事件について,60年に7.3%となって以降低下し,63年では6.3%となっている。一方,道路交通保護事件について,上記比率は,55年に0.5%に達して61年まで横ばい,62年から上昇傾向を示して,63年では0.7%になっている。 III-72表 少年保護事件の家庭裁判所受理人員及び観護措置人員(昭和45年,50年,55年,60年〜63年) III-48図 少年鑑別所新収容人員の推移(昭和24年〜平成元年) III-73表 少年鑑別所新収容人員及び1日平均収容人員(昭和63年,平成元年) III-48図は,昭和24年以降における少年鑑別所新収容人員の推移を示したものである。最近の状況を見ると,新収容人員は59年に2万2,593人となった後漸減して,III-73表のとおり,平成元年には1万8,212人となり,前年と比べて1,160人,6.0%減少した。また,1日平均収容人員は,昭和26年以降41年までは,おおむね2,000人前後で推移していたが,42年以降急速に減少し,46年以降には1,000人以下となり,49年は593人と最低値を示した。その後増加に転じ,59年は1,386人となったが,平成元年には1,123人となり,前年より72人,6.0%減少した。III-74表 少年鑑別所退所事由別人員(昭和63年,平成元年) 一方,平成元年における退所人員は,III-74表のとおり1万8,252人であり,退所者のうちで最も多いのは,家庭裁判所の決定により保護観察処分に付された者の7,247人(39.7%)であり,次いで,少年院送致処分となった者の4,826人(26.4%),試験観察に付された者の2,966人(16.3%)などとなっている。 |