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 平成 2年版 犯罪白書 第1編/第2章/第8節/2 

2 高齢者犯罪の動向

 平成元年において,警察が検挙した刑法犯(交通関係業過を除く。)の人員は31万2,992人であるが,このうち高齢者は1万2,120人で,検挙人員総数に占める高齢者の比率は,3.9%となっている。この比率は,総人口に対する高齢者比の16.9%に比べると,かなり低いものの,10年前の3.1%(1万1,251人)に比べると,0.8ポイント増となっている。しかし,高齢者人口10万人当たりの高齢犯罪者検挙人員数では,10年前の76.9人から元年の58.0人へと減少している。
 I-57表は,平成元年における高齢者刑法犯検挙人員を罪名別に示したものである。罪名別構成比を見ると,窃盗(73.6%)が最も高く,以下,横領(9.7%),詐欺(4.2%)の順になっており,これを男女別に見ると,窃盗では,女子における構成比(92.0%)が男子における構成比(63.0%)と比べて極めて高いが,詐欺及び横領では,いずれも男子における構成比の方が高くなっている。他方,各罪名ご七に高齢者比を見ると,実人員は少ないが,殺人の6.2%が最も高く,次いで高いのは,詐欺の5.6%,放火の5.5%,窃盗の4.6%と続いている。また,男女別に高齢者比を見ると,総数で男子は3.1%であるのに対し,女子は6.7%(男子の2.2倍)と高く,これを,前述の総人口に対する男女の高齢者比と比べて見ても,刑法犯検挙人員における女子比が,かなり高いことがうかがえる。罪名別では,男子は,殺人の6.5%が最も高く,以下,詐欺の5.7%,放火の5.4%の順となっているのに対し,女子は,窃盗の7.4%が最も高く,以下,放火の5.7%,詐欺の4.9%,殺人の4.8%の順となっている。

I-57表 高齢者の刑法犯罪名別検挙人員(平成元年)