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 平成 2年版 犯罪白書 第1編/第2章/第5節 

第5節 公害犯罪

 I-42表は,検察庁における公害犯罪についての最近3年間の新規受理人員及び平成元年の局処理人員を罪名別に示したものである。新規受理人員総数は,昭和56年まで6,000人台を維持していたが,その後は減少の傾向にあり,平成元年には,前年より633人(14.4%)減少して3,775人となっている。これを罪名別に見ると,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)違反が2,235人(59.2%)で最も多く,以下,海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(以下「海洋汚染防止法」という。)違反が1,331人(35.3%),水質汚濁防止法違反が100人(2.6%)となっており,この三者で全体の97.1%を占めている。前年に比して,水質汚濁防止法違反で158人(61.2%),廃棄物処理法違反で434人(16.3%),また,海洋汚染防止法違反で17人(1.3%)とそれぞれ減少している。
 平成元年の終局処理人員について見ると,総数では3,684人で,前年より554人(13.1%)減少している。そのうち,起訴人員は2,183人で,前年より480人減少しており,起訴率は59.3%である。なお,公判請求人員は94人で,起訴された者の中での公判請求の比率は4.3%(昭和63年は1.9%,62年も1.9%)となっている。
 起訴人員を罪名別に見ると,廃棄物処理法違反が1,391人(起訴率は63.6%)で最も多く,以下,海洋汚染防止法違反が642人(同50.6%),水質汚濁防止法違反が91人(同77.1%)などとなっている。
 なお,これら三つの公害犯罪について,検察統計.年報により,その法人・個人別終局処理人員の比率を見ると,廃棄物処理法違反では,法人の12.2%に対して個人が87.7%.海洋汚染防止法違反では,法人の18.4%に対しで個人が81.6%,水質汚濁防止法違反が法人の31.6%に対して個人が68.4%となっている。

Iー42表 公害犯罪の罪名別検察庁新規受理・終局処理人員(昭和62年〜平成元年)