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 平成 元年版 犯罪白書 第4編/第2章/第4節/1 

1 主要犯罪の認知件数及び発生率

 IV-19図は,1946年から1987年までの間について,各国の公的資料に掲載された主要な犯罪の認知件数の合計の推移を見たものである。ただし,我が国を除く各国の統計については,法改正,統計数値の取扱いの変更,資料入手状況等により,連続的にとらえることが困難である場合があるので,1987年現在のデータと連続させて理解できる範囲にとどめることとし,その結果,西ドイツは1951年から,イギリスは1946年から,アメリカは1960年から,フランスは1972年からの推移となっている。
 主要な犯罪の合計の認知件数は,第二次大戦直後の混乱期については,1951年からの西ドイツ,1946年からのイギリス及び我が国のデータによる比較が可能であるが,敗戦後の混乱が激しかった西ドイツと我が国の数値がイギリスの数値を大幅に上回っている。1960年代後半からは,アメリカ,イギリス及び西ドイツでは増加が目立ち,1970年代以降は,フランスを含めて激増している。この間,我が国では,1960年代後半から1970年代前半まで減少ないし横ばいの状態にあり,その後1970年代後半から増勢を示している。そのため,我が国の認知件数は,1960年前半までは,アメリカ及び西ドイツの各数値より少ないものの,その差はさほど大きくなく,イギリスの数値より多かったのであるが,1960年代後半以降はイギリスより少なくなり,これらの国の数値は更に増加しているため,我が国との較差が拡大している。1972年を100とする指数により,1987年における各国の認知件数合計を見ると,イギリスは220,フランスは189,西ドイツは173,アメリカは164であるのに,我が国は129にとどまっている。

IV-19図 主要な犯罪の認知件数の推移(1946年〜1987年)

 IV-20図は,我が国を含め,各国の主要な犯罪の合計の発生率の推移を見たものである。我が国と各国の各発生率は,1960年代後半から,我が国がほぼ減少ないし横ばい状態にあるのに,各国は我が国より高い状態で上昇傾向が続き,年々その開きが大きくなる傾向にある。1987年における発生率は,イギリスは7,421,西ドイツは7,269,フランスは5,712,アメリカは5,550となっているが,我が国は1,291にとどまっている。

IV-20図 主要な犯罪の発生率の推移(1946年〜1987年)