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 平成 元年版 犯罪白書 第3編/第1章/第2節/2 

2 窃盗少年

 前述のとおり,交通関係業過を除く少年刑法犯検挙人員中に占める窃盗の比率は常に高く,昭和63年には76.0%となっているが,これを手口別構成比で見ると,III-3図のとおりであり,万引きが44.4%で最も多く,次いで,オートバイ盗21.1%,自転車盗13.6%,自動車盗2.4%,車上ねらい2.3%,空き巣ねらい2.1%などの順となっており,万引き及び車両関係の窃盗が目立っている。III-3表は,63年における万引きを犯した少年の年齢構成を見たものである。窃盗に占める万引きの比率は,14歳未満の触法少年,14歳から17歳までの年少少年及び中間少年において高いのに対し,18歳以上の年長少年では比較的低く,全般的傾向として,年齢が高くなるにつれ,万引きの占める比率が低下していく状況にある。もっとも,女子においては,この傾向が見られず,全般的に万引きの占める比率が高いばかりか,特に,16歳,17歳の女子においては,窃盗の8割以上が万引きで占められでいることが注目される。なお,63年において万引きを犯した少年の学職別人員及び構成比を見ると,その45.5%が中学生,38.4%が高校生であり,これらの中・高生が万引き事犯の83.9%を占めており,有職少年及び無職少年の比率は,それぞれ3.2%,4.6%といずれも低くなっている。また,同年の法務省の特別調査によって,窃盗少年の犯行動機を見ると,「利欲」が73.1%,「遊び」が21.3%であり,「困窮・生活苦」はわずか0.5%にすぎない。

III-3図 窃盗事犯少年の手口別構成比(昭和63年)

III-3表 窃盗犯少年の年齢別検挙状況(昭和63年)