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 平成 元年版 犯罪白書 第2編/第2章/第2節/1 

第2節 裁  判

1 概  説

 昭和59年以降5年間に確定裁判を受けた者の裁判結果を見ると,II-8表のとおりである。確定裁判を受けた者の総数は,56年から増加を続けていたが,61年以降減少し,63年には前年より38万5,509人(22.1%)減少して135万5,535人となっている。これは,主に検察庁における交通関係事犯の処理方針の見直しによる起訴事件数の減少によるものである。

II-8表 全事件裁判確定人員(昭和59年〜63年)

 確定裁判を受けた者を刑名別に見ると,昭和63年は,死刑の確定裁判を受けた者は前年より増加し,無期懲役,有期懲役,有期禁錮,罰金,拘留又は科料の確定裁判を受けた者は前年より減少している。特に,死刑については,61年にはその確定がなかったのに,62年には7人となり,63年には12人となっているのが注目される。なお,平成元年は,6月30日現在で2人となっている。
 有期懲役のうち執行猶予が付された者は3万4,218人で,執行猶予率は54.1%(前年は55.1%),有期禁錮のうち執行猶予が付された者は4,588人で,執行猶予率は93.1%(同93.3%)であり,この両者を合わせた執行猶予率は56.9%(同57.8%)となっている。罰金で執行猶予となったものは2人にすぎない。また,全確定裁判に占める罰金の比率は93.5%で,科料の比率は1.4%である。無罪となった者は87人で,全体の0.006%である。