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 昭和37年版 犯罪白書 第二編/第一章/二/3 

3 分類処遇

 受刑者は,その更生を容易ならしめるため,それぞれ適した施設に分類収容される。このような分類収容は,分類級に応じ,処遇の専門化による矯正の効率化をねらったものであることはいうまでもない。たとえば,心身に障害のあるH級およびK級についてみると,次のとおりである(なお,収容人員は昭和三六年一二月二五日現在)。
八王子医療刑務所 H級およびK級(H級二五七人,K級一〇五人)
城野医療刑務所 H級およびK級(H級二五七人,K級一四人)
菊池医療刑務所 K級のうち癩患者(一四人)
呉拘置支所 K級のうち老衰者(九六人)
岡崎刑務支所 H級のうち軽度の精神薄弱者(七〇人)
 右の刑務施設においては,主として医療的な処遇を加え,その効果をあげているが,精神障害者の数は,II-12表に示すように,昭三六年一二月二五日現在で八,一六〇人もいるので,さらに専門施設の増設を必要とされている。

II-12表 受刑者の精神状況別人員と率等(昭和36年12月25日現在)

 また,最近業務上過失致死傷による禁錮刑が増加したので,名古屋矯正管区内では豊橋刑務支所に分類収容することとし,昭和三六年十月から開始した。
 なお,分類処遇と関連して,分類級と再入率との関係をみてみよう。II-13表は,昭和二五年,二八年,二九年にそれぞれ出所した受刑者につき,出所後五年六月ないし六年六月の間にどの程度のものが再犯を犯して刑務所に再入したかを分類級別ごとにみたものであるが,これによるとA級(改善容易なもの)は,B級(改善の比較的困難なもの)に比して,再入率が低いばかりでなく,再犯期間がB級より遅い。改善容易と判断された二五歳未満の者を収容するG級,少年に準じた取扱いを必要とする二三歳未満の者を収容するE級および少年を収容するD級は,いずれもかなり再入率が高く,六カ月から二年ぐらいの間に再犯するものが多い。また,心身に障害のあるものを収容するH級およびK級は出所後三月以内に再入者の三分の一が,六月以内にその約半数のものが,それぞれ再犯している。このように,分類級に応じてその再入率,再犯期間に格差があるということは,注目を要するところである。

II-13表