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再犯者のなかで,出所後五年以上を経過した後に再犯を犯して刑務所に入所したものを仮に経過初犯とよぶとすれば,この経過初犯にあたるものは,毎年再入する受刑者のうち,昭和三一年から昭和三五年までの五年間の平均では,その六・九%(一,八五四人)である(I-87表参照)。
経過初犯の特徴は,再犯期間が長いばかりでなく,出所後五年未満内に再入する者と比較した場合に,入所度数の面からみると,経過初犯の入所度数の割合がかなり低いことである。昭和三三年から昭和三五年まで三年間の平均では,経過初犯の五一・四%が二度目の入所者であり,その四八・六%は三度目以上の入所者であるのに対して,五年未満内の再入者では三〇・五%が二度目の入所者であり,六九・五%が三度目以上の入所者である。 このような犯罪経過形式のうえの特徴は,心理的にも,他の一般累犯者群と異なった面のあることが考えられ,法務総合研究所が東邦大学に依頼した調査によると,経過初犯には,意志薄弱のような環境依存的な,したがって,機会的な犯罪の態様を示すものがその中核をなしていること(男子経過初犯者八四例中七二例が明らかに意志薄弱型であった),二五歳未満における犯罪の初発者が多いこと(一般の累犯者では四一・五%であるのに対して,経過初犯では七五%),出所後五年後および一〇年後を経た再調査の結果では,一般の再入率と変わりはないが,良化率すなわち,五-一〇年にわたって,あるいは一〇年以上にわたって犯罪を行なわない者が多いこと(男子経過初犯八四例中六三例),また,このような良化率の高いものは,初犯の刑期が短かく,かつ入所度数の少ないこと,犯罪生活曲線によると,(イ)初犯と二犯との間に間歇期(二年半から五年までの期間)のある型,またはその亜型として,初犯と二犯,二犯と三犯との間にそれぞれの間歇期のある型,(ロ)初犯から二回以上の持続(前刑の出所から次の犯罪までの間隔が短かく,せいぜい二年半ぐらいまで)あるいは馳張(間隔が五年以上)型の犯罪をかさね,間歇期を経て,最後に一度だけの犯罪をしている型,またはその亜型として,同様の間歇期を経て,(イ)の亜型に移行する型であることなどの点が明らかにされている。 また,一般に五〇歳以上の老年者が比較的多く占める罪種は,賭博,文書等偽造,詐欺,住居侵入,賍物関係,放火,横領,殺人,窃盗などの順である。このうち犯数別にみて,再犯者のなかで,老年者によって比較的多く犯されている罪種は,賭博,文書等偽造,詐欺,住居侵入などで,いずれも五〇歳以上の老年が一〇%以上を占めている。これに対して強盗,恐喝,傷害,公務執行妨害などの犯罪は,老年になると著しい減少している(I-98表参照)。 I-98表 新受刑者の主要罪名別・年齢別・犯数別人員の百分率(昭和33〜35年・男子刑法犯累計) |