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 昭和37年版 犯罪白書 第一編/第五章/二/2 

2 起訴または起訴猶予処分に付された人員からみた再犯者,累犯者

 刑法犯につき検察官が起訴または起訴猶予処分に付した者のなかに,前に罰金以上の刑に処せられたことのある前科者がどの位いるかを検察統計年報によってみると,I-83表のとおり,昭和三五年には三四・九%を占めている。この比率は昭和三三年以降ほとんど変わっていない。警察統計による刑法犯検挙人員中の前科者の比率は,二二・八%であるから,検察統計の場合の方が高いが,これは警察限りで処分されるものがあること,およびI-83表が起訴および起訴猶予だけを対象としたためであって,警察から送致されるもののなかには,このほか嫌疑なし等の理由で不起訴処分に付せられるものが含められているからである。これを男女別にみると,男子の前科者は三六・四%,女子のそれは八・八%(いずれも昭和三五年)であるから,男子が女子に比して著しく高率である。

I-83表 刑法犯起訴および起訴猶予人員中の前科者の比率(昭和32〜35年)

 前科の有無は起訴不起訴の基準の一つとして一般に考慮されている。昭和三五年における前科者・初犯者別の起訴率をみると,検察統計年報によれば,刑法犯における前科者の起訴率は七四・一%,初犯者のそれは五五・五%となっているが,このことは,前科の有無が起訴不起訴の判断を決するにあたって一つの因子となっている場合が多いことを示しているといえよう。