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 昭和62年版 犯罪白書 第4編/第3章/第4節 

第4節 保護司の役割

 仮釈放,保護観察,更生緊急保護等の諸制度から成る更生保護は,犯罪者及び非行少年を矯正施設に拘禁せずに社会内で生活させながら処遇を行い,その改善更生を助ける制度であるため,「社会内処遇」とも言われている。その中でも,社会内処遇の中核をなす保護観察は,その主な役割が保護観察対象者の更生意欲の喚起と健全な社会生活への適応を援助することにあるだけに,地域社会の理解と協力を特に必要としている。犯罪者が,いかに立ち直ろうとする意欲を持ち,更生への努力を傾けても,地域社会がこれを受け容れて協力しない限り,その円滑な社会復帰は期し難い。そのような意味において,保護観察は,国家機関が市民(地域住民)の参加を得て処遇を行う官民協力態勢を基盤とした活動であると言ってよい。市民参加の最も中心的な役割を担っているのが,保護司である。そこで,本節においては,まず,保護司がその相当部分を担当している保護観察に関し,保護司の処遇活動等の実情について述べ,さらに,この保護司の活動に対して,国民がいかなる評価をし,どのような期待を寄せているかについて探ってみることとする。