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 昭和62年版 犯罪白書 第4編/第2章/第4節 

第4節 一般市民の暴力ざたについて

 我が国の治安はおおむね良好に保たれ,殺人,強盗のような凶悪犯の発生率も低いため,大多数の一般市民にとって,これら凶悪犯は自分とは関係のない出来事として認識されていることが多いと考えられるが,比較的発生率の高い傷害事件の中には,日常生起するような,飲酒口論の上での暴力ざたによるものも少なくなく,このような事犯については,一般市民にとっても,いつ被害者又は加害者になるかもしれないという意味で,犯人の処分をも含めて,関心のあるところと思われる。しかるところ,この種の暴力ざたを起こした者に対しては,暴力をあくまでも否定する見地から厳正に対処すべしとの考え方と,反対に,だれでも犯す可能性がある過ちとして寛大な態度で臨むべしとの考え方があり得よう。
 そこで,本節では,まず,最近における傷害事件の動向と犯人に対する処分の実情等を紹介した上で,日常生起するような一般市民の暴力ざたについて,国民がそのような事件を犯した者をどのように処分したらよいと考えているかについての調査結果を基に,国民の意識を探ってみることとする。