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 昭和61年版 犯罪白書 第4編/第5章 

第5章 犯罪被害とその国家的救済

 犯罪による被害を受けた場合,加害者に対する責任追及は,一応刑事責任と民事責任の二面が考えられる。刑事責任の追及については,刑事訴追を国が独占しているため,被害者は国家機関に対して犯人の処罰を求めることとなる。そのため,被害者には特別の法的地位が認められており,また,加害者が不起訴となった場合の救済制度も設けられている。一方,民事責任の追及は,被害者からの加害者に対する損害賠償請求であるが,これが,加害者に賠償能力がないなどの事情があって効果を上げない場合があるため,所定の範囲内で,国が直接被害者の救済に当たる制度が設けられている。
 ここでは,犯罪被害を受けた場合,被害者がどのような法的地位を与えられ,どのような国家的救済を受けられるかについて概観する。