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 昭和61年版 犯罪白書 第4編/第3章/第2節/3 

3 交通事故の被害

 IV-14表は,交通事故による死傷者数の推移を示したものであり,IV-9図は,これを図示したものである。
 死亡者数では,昭和45年に最高の1万6,765,人に達したが,その後急激に減少し,54年には最低の8,466人を記録している。その後は比較的小さな幅で増減を繰り返しているが,59年は41年の1万3,749人に比べると32.6%(4,487人)減の9,262人となっている。負傷者数では,死亡者の場合と同じく,45年に最高の98万1,096人に達した後急激に減少し,52年には最低の59万3,412人を記録している。しかし,その後は再び増加傾向に転じており,59年は41年の51万4,886人に比べると,25.1%(12万9,435人)増の64万4,321人となっている。ちなみに,これら交通事故による被害は,交通関係業過を除く刑法犯による死傷被害数と比べると,59年では,死亡者数で4.5倍,負傷者数では20.9倍にも達している。

IV-14表 交通事故死傷者数の推移

IV-9図 交通事故死傷者数の推移

 次いで,被害発生率を見ると,死亡者では,昭和41年の13.9から59年の7.7へと低下し,負傷者では,41年の520.0から59年の535.9へと上昇している。また,自動車1万台当たりの被害者数では,死亡者は41年の7.6人から59年の1.4人へ,負傷者は41年の286.0人から59年の99.8人へと,いずれも急低下している。
 IV-15表は,交通事故死傷別被害者のうち,女子,60歳以上の高齢者及び未成年者について,その構成比及び被害発生率の推移を示したものである。
 まず,女子について見ると,死亡者の構成比では特に大きな変化を示していないが,被害発生率は全体として低下している。負傷者では構成比に上昇の傾向が見られ,昭和41年の22.4%が59年には35.3%となっており,被害発生率でも41年の228.5から59年の371.9へと上昇している。次いで,高齢者について見ると,構成比では死亡者,負傷者共に上昇傾向が窺われるが,被害発生率ではいずれも全体として低下傾向にある。さらに,未成年者について見ると,女子や高齢者に比べて,構成比,被害発生率共に起伏が多く,一定の傾向は見いだし難い。

IV-15表 交通事故死傷別女子・高齢者・未成年者の構成比及び被害発生率の推移

 なお,いずれの年次においても,死亡者では,高齢者の被害発生率が女子及び未成年者のそれよりも際立って高く,負傷者では,未成年者の被害発生率が,女子及び高齢者のそれよりもかなり高くなっている。