I-63表は,昭和51年,59年及び60年における外国人登録法に基づく登録者及び外国人入国者を,国籍別に示したものである。登録者総数は,60年には85万612人(前年より8,781人,1.0%増)となり,入国者総数も逐年増加して,60年には225万9,894人(同22万3,406人,11.0%増)となっている。登録者の国籍は80.3%が韓国・朝鮮であり,入国者の国籍で最も多いのは,中国となっている。
I-63表 国籍別外国人登録者・入国者数
I-64表は,昭和60年における外国人の交通関係業過及び道交違反を除く検察庁新規受理人員の罪名別及び国籍別状況を見たものである。新規受理人員総数は,前年に比べ2,096人(13.2%)減少し,1万3,779人となっている。罪名別に見ると,前年に比べ増加したものは,殺人(23人,52.3%増),関税法違反(32人,30.5%増)である。また,外国人登録法違反が全体の24・1%を占めているが,これに次いで多いのが窃盗(21.O%)で,以下,傷害(10.1%),覚せい剤取締法違反(6.0%)の順となっている。次に,国籍別に見ると,韓国・朝鮮が1万942人(79.4%)で最も多く,次いで多いのが中国の755人(5.5%)である。
I-64表 外国人の罪名・国籍別検察庁新規受理人員
なお,昭和60年の外国人による出入国管理及び難民認定法違反の検察庁新規受理人員は572人で,前年より50人(8.0%)減少している。
これに関連して,地方入国管理局において,同法に基づく退去強制手続がとられた事例について,最近5年間の退去強制事由別摘発人員を見ると,I-65表のとおりである。総数では,急増傾向を示し,昭和60年には,前年より823人(12.0%)増の7,653人に達しており,このうち相当数の者が,出稼ぎを目的に来日したものである。すなわち,不法残留者のうち82.1%を占める5,411人は,資格外活動をも伴っており,これと資格外活動だけで摘発された218人を合わせると,これら出稼ぎ目的で来日した者は5,629人となり,摘発者総数の73.6%を占めている。
I-65表 退去強制事由別摘発人員
次に,これら5,629人の資格外活動及び資格外活動がらみ不法残留者の内容を男女別に見たものが,I-66表である。女子が総数の87.8%を占めており,その活動内容を見ると,ホステス,ストリッパーが89.9%となっている点が注目される。
I-67表は,裁判が確定して新たに我が国の行刑施設に入所した外国人の数を見たものである。昭和60年における外国人新受刑者は943人であり,新受刑者総数3万1,656人の3.0%に当たるが,この比率には近年特に大きな変化は見られない。
I-66表 資格外活動者及び資格外活動がらみ不法残留者の活動内容
I-67表 新受刑者の国籍別人員
I-68表は,最近5年間に,日本国内において外国人が被害にあった刑法犯の認知件数を見たものである。総数で見ると,昭和60年では,9,226件で前年より237件(2.6%)増加している。罪名別では,窃盗が7,497件(81.3%)で最も多く,次いで,傷害が474件(5.1%),詐欺354件(3.8%),暴行205件(2.2%)の順になっている。前年より増加しているものは,殺人,脅迫,恐喝,窃盗,放火,住居侵入である。
I-68表 外国人が被害者である刑法犯の認知件数