昭和31年以降における過失犯及び道交違反を除く暴力団関係者検挙人員の推移を見ると,I-13図のとおりである。暴力団関係者の検挙人員は,44年に最低の3万8,180人となったものの,45年以降再び増加に転じ,48年に5万人を超え,53年に5万8,750人と最近のピークに達したが,54年に若干減少し,それ以降は横ばい傾向で推移している。60年は,4万8,213人で,前年に比べて1,306人(2.6%)減となっている。
I-13図 暴力団関係者検挙人員の推移
I-35表 暴力団関係者の刑法犯罪名別検挙人員及び全検挙人員中に占める比率
I-35表は,最近5年間における暴力団関係者の過失犯を除く刑法犯の検挙人員及び全検挙人員中に占める比率を,罪名別に見たものである。昭和60年における暴力団関係者の検挙人員は,2万8,604人で,前年に比べて1,255人(4.2%)減となっている。これを罪名別に見ると,前年に比べ増加したのは,窃盗(276人,10.7%増),恐喝(234人,5.2%増),殺人(82人,15.9%増)などであり,逆に,前年に比べ減少したのは,賭博(815人,19.0%減),傷害(525人,6.3%減),暴行(220人,6.4%減)などである。
昭和60年の全検挙人員中に占める暴力団関係者の比率を見ると,総数では,6.6%と前年より0.1ポイント減少しているが,罪名別では,賭博のほか,殺人,恐喝,強盗,暴行などは上昇している。なお,脅迫(59.8%),賭博(54.7%),恐喝(39.4%),殺人(32.6%)などは,暴力団関係者の占める比率が高く,これらはいずれも暴力団との結び付きが特に強い犯罪であるといえよう。
I-36表は,最近5年間における暴力団関係者の道交違反を除く特別法犯の検挙人員及び全送致人員中に占める比率を,罪名別に見たものである。昭和60年における暴力団関係者の検挙人員は,1万9,609人で,前年に比べて51人(0.3%)減となっている。これを罪名別に見ると,前年に比べ増加したのは,銃砲刀剣類所持等取締法違反(220人,14.2%増),売春防止法違反(135人,33.5%増),自転車競技法違反(127人,20.5%増),風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反(72人,25.1%増),児童福祉法違反(63人,14.3%増)などである。前年に比べ減少したのは,覚せい剤取締法違反(169人,1.5%減),競馬法違反(48人,2.9%減),職業安定法違反(34人,25.0%減)などである。なお,覚せい剤取締法違反の検挙人員については,59年に過去最高の1万1,352人を示したが,60年には前記のとおり若干減少して1万1,183人となっている。
昭和60年の全送致人員中に占める暴力団関係者の比率を見ると,総数では15.6%と前年より2.0ポイント上昇しており,罪名別では,児童福祉法違反,麻薬取締法違反,銃砲刀剣類所持等取締法違反などが特に上昇している。なお,競馬法違反(52.6%),覚せい剤取締法違反(48.7%),自転車競技法違反(43.1%)などは,暴力団関係者の占める比率が高く,暴力団と結び付きの強い犯罪であることを示している。
I-36表 暴力団関係者の特別法犯罪名別検挙人員及び全送致人員中に占める比率
I-37表 暴力団関係者の罪名別起訴率及び起訴猶予率
最後に,昭和60年における暴力団関係者検挙人員の罪名別構成比を見ると,最も高いのは覚せい剤取締法違反の23.2%,次いで傷害の16.2%,恐喝の9.9%,賭博の7.2%,暴行の6.7%の順となっている。