教講師は,信仰を有する者,宗教を求める者及び宗教的関心を有する者の宗教的要求を充足し,宗教的自由を保障するための民間の篤志宗教家である。宗教教誨は,受刑者や少年院在院者がその希望する宗教の教義に従って,信仰心を培い,徳性を養うとともに,心情の安定を図り,進んで更生の契機を得ることに役立たせようとするものである。無期その他長期刑の受刑者はもとより,短期刑の受刑者や少年院在院者に対しても,再犯防止のために優れた成果を上げている。
教誨師が正式に制度化されたのは,明治14年の監獄則改正のときで,以降日本国憲法制定までの間は,官吏の身分を有する教誨師が施設に常駐していたが,現在は民間の篤志宗教家が教誨師として活躍している。ほとんどの教誨師は,施設単位又は都府県単位で教誨師会を組織し,これに加入している。全国組織として,財団法人「全国教誨師連盟」があり,ブロック機関としては,各矯正管区単位に地方教誨師連盟がある。
IV-70表 宗教教謁実施状況(昭和59年)
教誨師の平均年齢は60.0歳,平均在任期間は13.7年となっている。
昭和59年末現在における教誨師数は,行刑施設では1,389人,少年院では326人,計1,715人で,各宗各派にわたっている。59年中における宗教教謁の実施状況は,IV-70表のとおりで,教誨師1人当たりの教誨回数は,行刑施設10.5回,少年院7.0回となっている。
全国教誨師連盟は,教誨師活動のより一層の活発化を図るために,隔年ごとに全国教誨師大会を開催し,また,教誨師研修大会を毎年開催している。地方教誨師連盟,都府県教誨師会及び施設教誨師会は,それぞれ教誨師研修大会等を開催している。その内容は,講演,協議,研究発表,事例研究等で,ここでも積極的な研さん活動が続けられている。
IV-71表 民間協力者の教育活動援助状況(昭和59年)