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 昭和60年版 犯罪白書 第4編/第4章/第2節/2 

2 篤志面接委員

 篤志面接委員制度は,個々の受刑者や少年院在院者が抱えている精神的悩みや,家庭,職業,将来の生活設計などの問題について,篤志面接委員の助言・指導を求めて,その解決を図ろうとするものである。この篤志面接委員制度は,昭和28年5月の法務事務次官通達(収容者に対する篤志家の面接指導基準について)に基づいて発足し,以来年々活発となり,処遇に定着して再犯防止のために優れた成果を上げている。
 篤志面接委員は,学識経験者,宗教家及び更生保護関係職員等の中から,矯正施設の長が推薦し,矯正管区長が委嘱するものであり,任期は2年で,再委嘱を妨げない。
 篤志面接委員は,教育,文芸,更生保護,宗教,商工,法律,社会福祉等の担当部門に分かれて,被収容者からの面接や相談に応じている。IV-67表は,担当部門別の職業を見たものであるが,各部門とも宗教家,会社役員,教授等多種にわたっている。また,篤志面接委員の平均年齢は64.1歳,平均委嘱期間は11.5年となっている。

IV-67表 篤志面接委員の担当部門別職業(昭和60年4月1日現在)

 昭和59年末現在における篤志面接委員数は,IV-68表のとおり,行刑施設では1,135人,少年院では669人,計1,804人となっている。59年における面接回数は,IV-69表のとおり,行刑施設では1万1,870回で,委員1人当たりの面接回数は10.5回となっており,少年院では,それぞれ1万1,576回,17.3回で,その面接内容も多岐にわたっている。

IV-68表 篤志面接委員数(昭和59年12月31日現在)

IV-69表 篤志面接相談内容別実施回数(昭和59年)

 また,篤志面接委員制度のより一層の活発化を図るために,毎年矯正管区単位の研究協議会及び施設単位の協議会が開催され,講演,協議,研究発表,事例研究等を内容とする積極的な研さん活動が続けられている。