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 昭和60年版 犯罪白書 第4編/第3章/第5節/2 

2 裁判における処遇

 家庭裁判所は,検察官から処遇に関する意見を付して送致された非行少年や警察から直接送致されてきた非行少年等について,家庭裁判所調査官,少年鑑別所等を通じて資質や環境等の調査を行い,その健全育成,再犯防止のために必要な保護処分の決定その他の措置を行っている。この際,少年の性格や環境条件等を見極めるために,必要と認められたときは,家庭裁判所調査官のいわゆる試験観察(少年法25条)による一定の観察や措置が講じられている。
 IV-64表は,昭和58年における家庭裁判所終局処理人員について,終局処分別に再犯者の占める比率を見たものである。総数中に占める再犯者の比率は,交通関係業過を除く一般保護事件では,検察官送致で81.3%,少年院送致で76.9%,保護観察で56.0%,審判不開始・不処分で19.3%となっており,また,交通関係業過では,少年院送致で75.6%,検察官送致で50.4%,保護観察で36.9%,審判不開始・不処分で15.0%となっていて,一般保護事件及び交通関係業過のいずれも検察官送致,保護観察及び少年院送致において再犯者の比率が高く,特に,前者は後者に比べ,検察官送致及び保護観察において,再犯者率が著しく高いのが目立つ。