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 昭和60年版 犯罪白書 第4編/第3章/第3節/3 

3 検察及び裁判における処遇

 IV-46表は,検察段階における覚せい剤事犯者について,終局処理状況を見たものである。覚せい剤事犯者に対する起訴率は,昭和54年以降の5年間に,57年を除いてわずかながら上昇傾向を示し,58年には89.7%に達している。一方,業過を除く刑法犯の起訴率は,この5年間に56%ないし58%台を上下しており(検察統計年報による。),これに比べてみても,覚せい剤事犯者に対する起訴率が各年とも極めて高いことが分かる。

IV-46表 覚せい剤事犯者の検察庁における終局処理状況(昭和54年〜58年)

 IV-47表は,裁判段階における覚せい剤事犯者に対する科刑状況について,刑期別構成比及び執行猶予率を有罪(有期懲役・禁錮)人員の総数と対比して示したものである。まず,刑期別構成比を見ると,昭和54年以降5年間に,覚ぜい剤事犯者,総数のいずれにおいても,6月以上1年未満が逐年低下しているのに対して,1年以上2年未満が逆に上昇し,また,57年以降は6月以上1年未満に代わって1年以上2年未満が最も高くなるなど,概して刑期が長くなる傾向にあるが,両者を比べると,覚せい剤事犯者において,その傾向が著しい上に,刑期1年以上2年未満の範囲の方に量刑が集中しつつある傾向が見られる。次いで,執行猶予率を見ると,54年以降5年間に,覚せい剤事犯者,総数のいずれにおいても,低下傾向にあるが,両者を比べると,覚せい剤事犯者の方において,その低下傾向が著しい。

IV-47表 覚せい剤事犯者の第一審における刑期別構成比及び執行猶予率(昭和54年〜58年)