女子非行の特徴の一つとして性非行があげられる。III-9表は,最近5年間における性非行で補導された女子少年の態様別人員を示したものである。性非行で補導される女子少年は,例年8,000人ないし9,000人を数えていたが,昭和59年中に補導された女子少年は9,813人となっている。学職別に見ると,中学生が26.1%,高校生が25.4%となり,性非行の過半数を中学生・高校生で占めている。これを年齢別に見ると,16歳が2,678人で最も多く,次いで17歳の2,387人となり,中間少年がその中心をなしているが,最近では,12歳以下の女子少年も増加しており,59年には46人を数えている。
女子少年の性非行に陥った動機を見ると,「興味(好奇心)から」 とする者が最も多く,全体の44.0%を占め,次いで,「遊ぶ金が欲しくて」19.5%,「特定の男性が好きで」18.7%などとなっている。51年の数値と比較して見ると,最近の女子少年は,「興味から」が最も多い点は同じであるが,その他「遊ぶ金が欲しくて」,「特定の男性が好きで」などを動機とする者が増えてきたことが目立ち,性に対する意識が変化してきたことを窺わせる。女子少年が興味本位に性非行にはしる原因や背景については,青少年の間で性のモラルが変化してきたことはもちろんのこと,性を商品化した営利主義の風潮,興味本位の性情報のはん濫が,心身の未成熟な思春期にある少年に対して,直接・間接に有害な影響を与えているといえよう。
III-9表性非行で補導された女子少年の態様別人員(昭和55年〜59年)