昭和35年以降25年間の有期懲役・禁錮確定人員中の執行猶予率の推移を見ると,II-2図のとおりである。懲役に対する執行猶予率は,35年の51.5%から若干の起伏を示しながら推移し,59年には55.5%となっている。禁錮に対する執行猶予率は,懲役に対するものより高く,35年の78.0%から59年の92.0%へと推移している。
II-14表は,最近5年間における執行猶予の初度・再度別確定人員を見たものである。いずれの年次においても,執行猶予人員のほぼ96%は初度の者で占められている。初度の執行猶予者で保護観察(売春防止法による補導処分を含む。)に付された者の比率は,昭和59年には14.0%で,前年と同率である。なお,司法統計年報によれば,58年中に地方裁判所及び簡易裁判所で有罪判決の言渡しを受けた者のうち,犯行時に執行猶予中であった者は4,369人で,そのうち再度の執行猶予の言渡しを受けた者は1,626人(37.2%)となっており,執行猶予中の者のどれほどが実刑となり,あるいは再度の執行猶予を許されているかが概観できる。
II-2図 有期懲役・禁錮確定人員中の執行猶予率(昭和35年〜59年)
II-14表 初度・再度別執行猶予確定人員(昭和55年〜59年)
II-15表は,最近3年間の執行猶予取消人員を取消事由別に見たものである。取消人員数は,昭和59年には前年より231人(3.7%)増の6,524人となっている。取消事由は,再犯により禁錮以上の刑に処されたことによるものが95.7%と圧倒的多数を占めている。ある年次における執行猶予確定人員とその年次の執行猶予取消人員とは,その対象を異にするので,前者に対する後者の比率は,厳密な意味での執行猶予取消率とはいえないが,執行猶予取消しのおおよその傾向を知るため,従来から前記比率を算出して執行猶予取消率と称してきた。この取消率は,59年では,前年より上昇して14.3%となっている。
II-15表 取消事由別執行猶予取消人員(昭和57年〜59年)