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 昭和60年版 犯罪白書 第1編/第5章/第3節 

第3節 捜査・司法の国際共助

 犯罪の捜査共助については,昭和55年5月29日法律69号をもって,国際捜査共助法が制定され,同年10月1日から施行された。同法は,外国から刑事事件の捜査に関して共助の要請があった場合に,我が国内においてとるべき措置を定めたものであるが,その要件は,[1]原則として外交ルートを通じての要請であること,[2]政治犯罪でないこと,[3]捜査の対象となっている行為が日本国内で行われた場合,日本国の法令上罪に当たること,[4]相互主義の保証があることなどである。
 法務省刑事局の資料によると,昭和59年においては,アメリカ合衆国,フランス,スイス,フィリピン,ポーランド及びイタリアから,証拠物の押収及び送付,参考人からの供述調書録取依頼等の捜査共助の要請が10件あり,前記国際捜査共助法に基づいて処理されている。また,我が国が捜査共助を要請した事例は,メキシコ及びコロンビアに対するもの各1件があり,うち1件について正式回答を受けている。